世界で争奪戦も“ワクチン”国内製造の意義
17日、新型コロナウイルスのワクチン接種が始まります。当面は海外で製造されたワクチンに頼ることになりますが、国内でのワクチン生産に向けて動き始めている企業があります。
16日、東京・瑞穂町のコミュニティセンターにできていた長蛇の列。その中では、ワクチンの集団接種のシミュレーションが行われていました。
受付と予診票の確認を1か所で行ったため、人が滞留。今後、2か所にすることを検討しているといいます。
瑞穂町ワクチン接種事業担当・水村探太郎主幹「今やれることを一生懸命やって、供給された際には、みなさまに早くお届けできるように」
国立病院機構などの医療従事者およそ1万5000人に対して、17日から始まるワクチンの先行接種。
今週中にも、先行接種を始める神奈川県の病院では準備が進められていました。リハビリ用の部屋を接種会場にするため、イスや机を置いてレイアウトを変更したといいます。
相模原病院・金田悟郎院長「基本的には、早くみんなに免疫をつけてもらって、バリバリ診療してもらって、ある意味わくわく感がある」
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一方、17日からの先行接種に使われる、ファイザーのワクチン。海外の工場で作られますが、世界では、ワクチンの争奪戦が起きているのです。
日本では、海外の3社からワクチンが供給される予定ですが、このうち、アストラゼネカのワクチンの一部は、国内で製造されるのです。
16日、取材したのは、製造を担うJCRファーマ。
JCRファーマ・芦田信会長「アストラゼネカさんから、ワクチンの原液を作れと」
新型コロナの遺伝情報の一部を組み込んだウイルスの種を、培養器で増殖させ、ワクチンの原液を製造するのです。
政府は、日本に供給予定のアストラゼネカのワクチン、1億2000万回分のうち、4分の3を国内で製造予定。
JCRファーマの会長は、国内で生産することの意義をこう語ります。
JCRファーマ・芦田会長「国内で作ることによって、海外からなんらかの影響で、来なくなったりということのリスクは避けられるのではと思います」
国内で生産することで、安定的にワクチンを供給できると強調します。
アストラゼネカは今月5日、厚生労働省に対し、ワクチンの製造販売の承認を申請。承認されれば国内で初めて新型コロナワクチンが製造されることになります。
JCRファーマ・芦田会長は、「日本の方々に(ワクチンを)届けなければならないことが、1番我々にとって重要なことじゃないかなと」と話しました。