拉致被害者家族・有本明弘さん(96)死去 家族会「親世代存命のうちに全被害者救出を」
北朝鮮による拉致被害者・有本恵子さんの父・明弘さんが亡くなりました。96歳でした。
1983年、ロンドンに留学中北朝鮮に拉致された有本恵子さんの父・明弘さんが、15日に亡くなったということです。有本明弘さんは、拉致被害者の石岡亨さんが1988年、実家に送った手紙で恵子さんが平壌で暮らしていることを知り、救出活動を始めました。
2002年の日朝首脳会談で、北朝鮮は恵子さんの拉致を認めた上で、すでに亡くなっていると説明しましたが、その後、北朝鮮の情報に誤りがあったことなどから、明弘さんは妻の嘉代子さんとともに、娘の生存を信じ救出を訴え続けてきました。
嘉代子さんは2020年に94歳で亡くなり、明弘さんも娘との再会を果たせぬまま帰らぬ人となりました。明弘さんは、90代になってからも集会や総理大臣との面会のたびに車いすで上京し、被害者の帰国を求める活動に力を尽くしてきました。
帰国を果たせていない政府認定の拉致被害者の家族で、存命の親世代は横田めぐみさんの母・早紀江さん1人となりました。
拉致被害者の家族会は、こうした家族の高齢化への懸念から「親世代が存命のうちに全被害者の救出を」と訴え続けていて、16日に支援団体とともに発表した今後の活動方針の中でも、解決に向けた対応を急ぐよう政府に求めています。
明弘さんが亡くなったことを受け、家族会の横田拓也代表は、「恵子さんに会わせてあげたかった。本当に残念です。日本政府は速やかに日朝首脳会談を行い、全拉致被害者の即時一括帰国を実現してほしい」とコメントしています。