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最年少女性市長に聞く 女性リーダーの意義

2021年3月8日 12:32
最年少女性市長に聞く 女性リーダーの意義

3月8日は「国際女性デー」です。世界経済フォーラムが去年発表した「ジェンダーギャップ(男女格差)指数」で、日本は121位。特に政治分野での女性の参画が遅れています。「女性が政治リーダーになると何が変わるのか」。去年4月に初当選し、全国史上最年少の女性市長となった徳島市長・内藤佐和子さん(36)に、日本テレビ小西美穂解説委員が聞きました。


■「阿波女」が活躍する徳島県

──全国市長会によりますと、全国792の市長のうち女性市長は25人。3%にとどまります。内藤さんは“極めてレア”な存在ですが、周囲の期待を感じますか?

就任後は、コロナ対策に奔走した一年になりましたが、やはり選挙のときから若い女性ということでの期待を感じました。徳島県で初の女性首長でもあり、就任当初から一挙手一投足に注目していただいて、期待もすごく感じています。ただ、市長会、町村長、知事も含めて全員が年上の男性なんですね。雰囲気としては、少し気圧される感覚もあるんですが、そこはなんとかやっています。

──男性に囲まれながら内藤さんが奮闘する姿が想像できますが、一方で、徳島は経済3団体トップが全員女性、という極めて珍しい地域なんですね。

経済3団体も女性ですし、徳島市でいえば市立の高校が1つあって、その校長も女性です。

──そうなんですか。徳島は保守的な風土があるように思いましたが、女性に期待が集まっている。

「阿波女」という言葉が徳島にはあって、「すごく元気に活躍する女性」という意味です。県の審議会も50%ぐらい女性が活躍していますし、女性経営者の比率も全国でトップレベルなんです。「阿波女」の活躍が期待されている部分は大きいと思います。


■森前会長の蔑視発言は“社会構造”の問題

──五輪組織委・森前会長の女性蔑視発言についてどう感じた?

「会議での発言が長い」や、「ライバル視してどんどん発言する」ということには異論を唱えたいと思いました。

一方で、この発言で一個人を批判するのではなく、どうしてそういう発言が出てきてしまったのかという社会の構造を考えて、解決する方向に議論がいってくれればと思っています。私もジェンダーギャップ解消のために、女性政治家としてできることは何か、日々考えています。

──構造の問題というと、どのようなことを変えたいと?

意思決定の場にいる女性が少ないですよね。特にジェンダーギャップの文脈でいうと、政治と経済の分野はとても弱い分野なので、そこにいかに女性の数、比率を増やすかが必要ではないかと思います。徳島市もそこに向けて頑張っていきたいです。


■今は「仕事だけに注力しろ」という時代ではない

──市政運営では、ジェンダーギャップ解消にどんな取り組みを?

今まで徳島市では女性部長が1人もいなかったんです。就任してすぐに1人、女性に部長に就任してもらいました。これからも研修をして、女性の管理職登用をどんどん進めていきたいと思っています。また、市の総合計画を策定する会議の委員も、21人中10人女性です。特に女性や若者が参画しやすい会議をつくっています。

職員の家庭のことも気にかけるようにしています。たとえばお子さんが病気で、この時期は病院について行く必要があるから休みたい。ただ仕事はバリバリ続けたいから部署の異動はしたくない、というときありますよね。そこで、できるだけサポートに回れる人員を付けられるかは考えます。

いまは「仕事だけに注力しろ」という時代ではなくて、誰がそういう立場になっても、できるだけサポートできる体制をとれるように。みんなで徳島市を良くしていくために、「家庭も大事に、働くことも大事にしながらやっていこうよ」と職員によく話しています。だから、普段からエレベーターで一緒になった職員と会話するようにしたり、市長室は8階にあるのですが、1階から上まで歩いて、各フロアを回りながら、職員に声かけしたりしています。

──えっ、びっくりされません?市長がこのフロアに来るの!?みたいな(笑)

初めの頃はかなりびっくりされました(笑)。でもいまは、「市長に普通に話しかけていいんだ」っていう雰囲気になっている気がします。市長というと、部長とか副部長じゃないと話しかけちゃいけない雰囲気があった気がするんです。でも私は自分からおりていく。会話の機会を増やしています。

■「きょうは生理でつらい」自然に話していたことが“研修”に

──市政運営で、これは女性の市長特有の実践かな、ということってありますか?

たとえば、私は職員や副市長、部長の前でも「きょうは生理だから疲れている」とか「生理でしんどい、眠い」とか話をするようにしています。初めは結構、戸惑われたりしましたが、女性職員から上司に言いづらい面がありますよね。市長が話すことで、「配慮しなきゃいけない」というのが職員に伝わると、女性が言いやすい職場になるのかなと思っています。そういうことが言えるような職場でなかったら、心理的安全性もなかなか持てないと思うのです。

──生理の話はタブー視されがちですが、トップが口にすることで、意識が変わりますよね。子育ての話もしますか?

しますね。男性も育休取ったりすべきだと私は思っているので、女性だけでなくて男性職員にも、もちろん個人の選択ではありますが、結構若い職員にもします。自然に話していたことですが、これってある意味、研修なのかもしれないなって思い始めました。

(後編へ続く)


3月8日の「国際女性デー」に合わせたインタビュー内容を再構成。全編はYouTube配信。詳しい内容は、「日テレNEWS24」WEBサイトや「日テレNEWS」YouTubeなどで動画で配信しています。


▼内藤佐和子(ないとう・さわこ)
徳島県徳島市長。36歳。全国最年少の女性市長として2020年4月に初当選。東京大学在学中に難病を発症し、体験をつづった著書が話題を集めた。


▼小西美穂(こにし・みほ)
日本テレビ政治部解説委員・「news every.」キャスター。