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“副反応”事例全て女性 因果関係を評価へ

2021年3月10日 20:07
“副反応”事例全て女性 因果関係を評価へ

新型コロナウイルスのワクチン接種後に、アナフィラキシーのような症状として報告された国内17事例は、全員女性でした。全員、症状が軽快・回復していて、過度に恐れる必要はありません。今後、専門家が因果関係を詳しく評価することになっています。

■尾身会長「早晩、変異株が主流に」

10日、東京では新たに340人の感染が確認されました。1週間前の316人に比べると増えています。

世界的に懸念されているのが変異ウイルスです。9日までに日本国内で確認された変異ウイルスは22の都府県で235例で、ほとんどがイギリス型ですが、南アフリカ型とブラジル型も確認されています。さらに10日、北海道で初めて13例の変異ウイルスが確認されたと発表されました。

10日、政府分科会の尾身会長は「すでにいくつかの県で間違いなく既存株にとってかわるプロセスが始まっていて、早晩この変異株が主流になると考えておいたほうがいい」と指摘しました。

■ワクチンの副反応、日本は多いか

こうした中、期待されるのがワクチン接種ですが、少し気になることもあります。10日、田村厚生労働大臣は次のように述べました。

「一般論としてですね、アメリカ、イギリスでアナフィラキシーが起こった。そういった確率からするとですね、(日本は)少し高めに出ているというような、そういう気はいたしますが、報告する基準がどうなのかということも含めて、ちょっとこれは評価をいただかないとですね、なかなか確定的に私、ものが言える状況じゃないと思います」

田村厚労相はこのように述べ、欧米よりもアナフィラキシー症状が多く出ているように見えると指摘しました。

例えばアメリカでは、ファイザーのワクチンを接種後、約994万回中50例、つまり「約20万回に1例」の頻度で(*CDCへの報告 1月18日まで)、イギリスでは「約10万回に1~2例」の頻度で(*MHRAへの報告 1月24日まで)、アナフィラキシー症状が出たとの報告があります。

日本では9日までに10万7000人あまりが1回目の接種を終え、17例の報告がありました。つまり「約6300回に1例」の割合で、アメリカやイギリスより頻度が高いように見えます。

しかし、日本はまだ医療従事者への接種が始まったばかりで接種の総数が少なく、アナフィラキシーの発生頻度などについては解析の段階です。『疑い』のケースを含めて事例を広く集めているため、報告が多いように見えている可能性もあります。厚労省は12日の審議会で、一つ一つのケースについてワクチンとの因果関係などについて詳しく評価することにしています。

■“アナフィラキシー”国内17事例 全て女性 症状は軽快・回復

ただ、発生状況を見ると特徴があり、17例のすべてが女性(20代~50代)となっています。

1例目の方は、5日に接種を受けた30代女性です。接種後5分以内にせきが出て、その後まぶたの腫れ、全身のかゆみなどの症状が出ました。ぜんそくなどの基礎疾患があったといいます。

2例目の20代女性も、5日に接種を受け、接種の25分後にじんましんが出て、その後、せき、発熱、血圧低下、息苦しいなどの症状がありました。

3例目の方は、接種後およそ5分でせきや息苦しさが見られ、過去に食べ物や動物、殺虫剤によるアナフィラキシーを起こしたことがあるとのことでした。

17人中14人が、ぜんそくや高血圧、医薬品や食べ物へのアレルギーなど、既往歴がありました。必要に応じて薬による処置を施すなどし、全員、症状が軽快・回復しています。接種後にその場で経過観察し早く対応することで、呼吸困難など命に関わる事態には至っていませんので、過度に恐れる必要はありません。

■アナフィラキシー 米国でも女性が圧倒的

では、なぜ女性に多くアナフィラキシー症状が出ているのでしょうか。国際医療福祉大学成田病院の松本哲哉主任教授に聞いてみましたが、「どういう理由かは分からない」とのことでした。

接種した人の割合が女性の方が多いのではという疑問もあります。CDC(アメリカ疾病対策センター)への報告によると、男性が36%、女性が61%、不明が3%となっています。割合としては、女性の方が多くなっています。

アナフィラキシー症状が出た人の内訳を見ると、ファイザーのワクチンで女性が94%、モデルナのワクチンでは女性が100%と、圧倒的に女性が多くなっています。

■基礎疾患がある女性、接種すべきか

日本で接種を受けた人の男女比はまだ分かりませんが、女性が多い傾向ではあるということでした。こうした情報が出てくると、アレルギーなど基礎疾患がある女性は、接種すべきか気になる人もいるかもしれません。

前出の松本教授は、「絶対に受けたらいけないわけではなく、問診票に記入することが大事」だと話しています。データに基づいて医師が注意して判断しているからです。

さらに、今はまだ、先行接種、優先接種のデータとして、細かな症状を拾ってアナフィラキシーの現状を把握している段階であることから、松本教授は「ワクチンの安全性が低くみられるという状況ではないので、過剰に反応する必要はない」としています。

12日、厚労省の審議会で、専門家がすべての症例について、一つ一つ因果関係を詳しく評価することにしています。こうしたデータに基づいた客観的な情報を十分に提供することが重要です。

(2021年3月10日16時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)

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