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リバウンド対策が条件…宣言解除へ 罰則も

2021年3月18日 20:45
リバウンド対策が条件…宣言解除へ 罰則も

2か月半に及んだ新型コロナウイルス感染拡大にともなう緊急事態宣言が、あと3日で全面解除されることになりました。これからの生活、これまでとナニが変わるのか、詳しく解説します。

■小池都知事「ダンスの時間が来たわけではない」

17日、東京の新規感染者数は1か月ぶりに400人を超えましたが、18日は323人でした。1週間前は335人でしたので、10日ぶりに前週の人数を下回りました。

18日午後3時すぎ、東京都はモニタリング会議を開き、専門家や都知事は次のように述べました。

国立国際医療研究センター・大曲貴夫センター長「宣言の解除後には感染者数が急激に増加する可能性を十分に認識して、人と人の距離を十分にとって、マスクを外しての会話を避けるなどの感染防止対策を徹底する必要がございます」

小池都知事「よく『ハンマー&ダンス』という言葉があります。けしてダンスの時間が来たわけではない。むしろ、これからもしっかりと感染防止対策を徹底する必要がある」

このように、小池知事も釘を刺しました。

■宣言解除 リバウンド対策の徹底が条件

こうした中、政府は18日朝、専門家に意見を聞く諮問委員会を開き、首都圏の東京、神奈川、千葉、埼玉に出されている緊急事態宣言を解除することが了承されました。この後、政府の対策本部が開かれ、解除を正式決定する方針です。

解除の目安となる1都3県の最新の指標をみると、病床使用率は『ステージ3相当』の黄色か、それ以下となっています。ピーク時は、最も深刻な感染状況を示す『ステージ4相当』ばかりでしたが、今はだいぶ改善してきました。

ただ、新規感染者数の前週比を見ると、東京や埼玉で1倍を超えていて、徐々に増えつつあります。解除を決めた理由は『これ以上、宣言を延長しても、効果は十分ではないため』、つまり状況が大きく改善したから解除するというわけではなく、どちらかというと後ろ向き、消極的な解除と言えそうです。

解除にあたっては、リバウンド対策の徹底が条件とされました。諮問委員会のメンバーは、次のように話しています。

日本医師会・釜萢常任理事
「首都圏での解除ということが、『何でも大丈夫』と誤解されないようにしなければならない」

政府分科会・尾身会長
「首都圏はリバウンドの起こる可能性が極めて高いので、解除した後の方が重要」

解除の後が大事ということです。

■解除後 リバウンド5つの対策

今後、どんな生活をするべきなのでしょうか。政府が出している解除後のリバウンド対策は、大きく分けて5つあります。

(1)飲食の場での対策は『罰則』を伴う措置も活用しながら行っていく
1都3県の知事らは、飲食店などに出している夜8時までの時短要請を、解除後は、3月末までは「夜9時」まで後ろ倒しにするとしています。その後については、政府と協議するとしています。

(2)拡大が懸念される変異ウイルス対策も強化
変異ウイルスを抽出するスクリーニング検査は、現在、陽性者の5%~10%しかできていませんが、これを40%程度まで引き上げていきます。

(3)無症状者へのモニタリング検査を大都市で拡充する
モニタリング検査とは、再拡大の予兆や感染源を早めに察知するために行われる検査です。1都3県の繁華街などでは、早ければ18日からこの検査を開始する予定です。全国でまずは一日1万件の実施を目指します。

(4)ワクチン接種を着実に推進することや有効性・安全性の情報提供

(5)医療提供体制の見直し
次の感染拡大に備え、検査体制や病床確保計画の見直しを行います。

■感染再拡大 夜の繁華街の人出と密接に関連

宣言解除後も、どうしたらリバウンドを抑えられるか、これが今後の最大の焦点となりますが、感染再拡大が夜の繁華街の人出と密接に関連していることを示す興味深いデータがあります。東京都医学総合研究所の西田淳志医師が公表した資料です。

グラフの青色の線は東京の週あたりの感染者数です。赤色の線は、歌舞伎町など東京の繁華街の夜の人出を表しています。

去年春の最初の緊急事態宣言のとき、解除した直後から人出が増え始め、それに少し遅れる形で新規感染者数も増えているのが分かります。

そして、今年1月に出された2回目の緊急事態宣言のときは、その宣言が出される少し前から、人出がぐっと減っていて、少し遅れて新規感染者も急激に減っています。つまり、夜の繁華街の人出と感染者の増減はリンクしていることが分かるのです。

■東京、実は夜出歩かず頑張っていた

そして注目してほしいのが、去年の緊急事態宣言のときの動向です。東京の解除より10日ほど早く39県で宣言が解除されましたが、東京は解除されていないにもかかわらず、人出が増えています。しかし、今回の宣言では、先月末に大阪など6府県が先行して解除された際、都内の人出は、ほかの地域の解除に影響されることなく下げています。

西田医師は「人々がかなり頑張って外出自粛を続けたことがわかる」と評価し、さらに「『緊急事態宣言を延長しても意味がなかった』という声もあるが、夜の人出を抑えた期間が長くなったので、無駄ではなかったのではないか」と分析しています。

ただ、最近は「繁華街に若い人が増えている。今どうにかしないと、また過去と同じ流行拡大になる。これまでも大半の人が頑張ってきたが、もう少しやろう、協力してほしい」と呼びかけています。

このあと宣言の解除が正式に決定しますが、21日までは宣言期間中で、解除が決まったからといって、みんなが一気に対策をゆるめるのが、一番よくありません。専門家も指摘しているように、大切なのは解除後の私たちの行動です。日々の行動は必ず結果に反映されるというシンプルな事実を、改めて忘れずにいたいと思います。

(2021年3月18日16時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)