リモート送別会、特別な入学式…新たな工夫
■会食「我慢」…せめて食べ物は
3月31日、都内の会社に勤める平山隼人さん(43)の自宅を訪ねました。つまみを用意し、午後8時すぎに職場のオンライン送別会が始まりました。
平山さんは「かんぱーい。頑張ってね、2人とも」と声をかけました。12人がリモートで参加。大人数での会食は我慢しましたが、ある工夫を加えました。
「料理は届いてるよね?」と確認した平山さん。
少しでも同じ場にいる気持ちになろうと、食べるものは全員同じものをそろえました。オンライン飲み用の企業向け宅配サービス「DeliPa Cool」(デリパクール)を利用しました。運営会社によると、2月15日~3月31日で約600社が使っています。
送別会では画面越しに「(オンライン飲みは)すぐ寝られるのがいいよね。でね、これがダメなんだ。お腹に肉がつく。明日に酒が残る」という声が上がり、平山さんは「早く堂々と(送別会を)やりたいですけどね」と応じました。
4月1日から別の部署に異動する参加者は「やっぱり会いたいですね。このメンバーと相対してお酒を飲んだら楽しいだろうなと思うんですけど、こういう状態をみんなで、時間と食事を分かち合いながら、我慢を楽しむ。逆にこのスタイルを、困難だけど楽しんでいこう、みたいな思いはあります」と話していました。
■「新2年生」入学式…初顔合わせも
都内の成蹊大学では、特別な式典が行われました。看板を見ると、「2021年度」ではなく「2020年度」と書かれています。去年中止となった、新2年生たちの入学式です。
新2年生の3人組に話を聞きました。仲が良さそうですが、「今日会ったばかり。初めて会いました」と笑います。オンラインの授業でしか顔を合わせたことがなかったといいます。1人は「高校の卒業式もコロナでほぼ流れちゃった感じなので、卒業した感覚も入学した感覚もないみたいな」と話しました。
式典はオンラインで生中継され、保護者は自宅や別室で見守りました。3人組の別の1人は「今年こそはちょっとでも充実したらいいなと思うんですけど、コロナがこういう状態なので、不安が大きいですね」と複雑な胸の内を明かしました。
■飛ばない飛行機 「レストラン」に
一方、苦境に立つ航空業界でも新たな試みがありました。国際線の減便が続く全日空が始めたのは、飛ばない飛行機の中で、ファーストクラスで提供される料理などを楽しむ“レストラン”です。洋食のメニューは税込み5万9800円です。
利用客(14)は「春休みはコロナでどこも行けてないので、一番の思い出になったと思います」と話しました。初日の3月31日はほぼ満席で、4月は11日間オープンする予定です。
(3月31日『news zero』より)