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変異株急拡大に危機感 独自検査の自治体も

2021年4月16日 18:47
変異株急拡大に危機感 独自検査の自治体も

政府は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う『まん延防止等重点措置』の対象に、新たに4県を加えることを16日夜、正式に決定する方針です。その背景にあるのが急拡大している変異ウイルスで、独自の検査に乗り出す自治体も出てきました。詳しく解説します。


■西村大臣「変異株…極めて強い危機感」

政府は、まん延防止等重点措置の適用範囲に、新たに埼玉、千葉、神奈川、愛知の4県を追加することを専門家から了承され、16日夜に正式決定する見通しです。

対象地域は、埼玉県では、さいたま市、川口市、千葉県は、市川市、船橋市、松戸市、柏市、浦安市、神奈川県は、横浜市、川崎市、相模原市、愛知県は、名古屋市です。期間は今月20日から5月11日までとなっています。

西村大臣は適用範囲の追加について、いま急速に広がっている変異ウイルスの拡大を抑えることも念頭においた追加だと述べました。

西村経済再生相「5月にはもう全て、この感染力の強いと言われる変異株に置き換わるという報告がある。専門家の皆さんと極めて強い危機感を共有したところであります」

変異ウイルスの感染が急拡大しているとしています。

■東京など“5月中にほぼ全てが変異株に”

東京では、今月11日までの1週間で、新規感染者の37.8%がイギリス型の変異ウイルス「N501Y」であると確認されました。

この変異ウイルスが1都3県で今後どのように増えていくのか試算したデータによると、5月前半には8割から9割になり、5月中にはほぼ全てが変異ウイルスに置き換わると推定されています。

■「買い物は3日に1回」小池都知事が呼びかけ


感染力が強いとされているN501Yの急拡大に、東京都の小池知事も危機感をあらわにしています。

小池都知事「こうした状況が続くと感染者数が今後さらに爆発的に増加してもおかしくないですよ」

小池都知事は、感染拡大を食い止めるには徹底した人流の抑え込みが必要だとして、主に次のような点について強く呼びかけました。

(1)医療従事者など生活に不可欠な職の人以外で、都外に住んでいる人は、通勤を含めて東京に来ることは控えてほしい。

(2)買い物は3日に1回程度に回数を減らす。少人数、短時間で済ませて、通販の活用もしてほしい。

(3)企業は、ゴールデンウイークとつながる平日は、従業員に有給休暇を取らせるようにしてほしい。

■人との接触、どれくらい減らす?

変異ウイルスがまん延する中で、人との接触をどれくらい減らせば感染拡大を防げるのかについて、試算が東京都の会議で公表されました。

人との接触を3割減らした場合、従来のウイルスでは、感染者1人がうつすのは『0.77人』となって1人を下回ります。接触をさらに減らしていくと感染は徐々に抑えられていきます。

N501Yの場合は感染力が強く、従来のウイルスの1.43倍と仮定すると、接触3割減の場合、感染者1人がうつすのは『1.1人』となります。1人が1人以上にうつすことから、感染は拡大していくことになります。接触を5割減らした場合では『0.79人』となって感染は抑えられることになります。7割減だとさらに減って『0.47』人になるという試算になっています。

■墨田区が独自の“変異”検査

東京都墨田区では今月8日から、区独自で変異ウイルスかどうかを調べる検査を始めました。

これまでは、新型コロナウイルスの検査で陽性だった場合、そのうちの10%程度が変異ウイルスのスクリーニング検査にかけられ、変異の疑いがある場合は国立感染症研究所でゲノム解析をして、どのタイプの変異ウイルスかを確定していました。ただ、これには数日から1~2週間かかっていました。

墨田区が新たに導入した独自検査では、PCR検査の装置で特殊な試薬を使うことによって、「N501Y」の疑いがあるかどうか1時間程度で結果を出すことができます。さらに、最大100検体ほどを同時に調べることができるので、変異ウイルス疑いの判定を大幅にスピードアップさせることが可能になりました。東京都や各県が行っているスクリーニング検査を区で行っているのです。ただ、この検査で分かるのはあくまでも「疑い」で、最終的には国立感染症研究所で確定させる必要があります。

早期に変異ウイルス疑いが分かるということにはメリットがあります。まず、受け入れ先の病院で、ほかの陽性患者と部屋を分けるなど感染対策が取りやすくなります。また、感染経路の特定なども素早くできるので、結果的に変異ウイルスのまん延防止に役立つといいます。

現在はまだ、区独自の検査で変異ウイルス疑いのケースは出ていないとのことですが、区の担当者は、今後、変異ウイルスが急拡大した時に備えて、今から準備しておくことが大事だと話していました。

いま懸念されている変異ウイルスの最大の特徴は、その増え方が急速で、あっという間に従来のウイルスから流行が置き換えられていってしまうという点です。

私たちが取るべき基本的な対策はこれまでと大きく変わるわけではありませんが、こうした変異ウイルスの特徴を正しく理解した上で、ひとりひとりが行動を見直すことも大切です。

(2021年4月16日16時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)