両陛下、児童らに画面越しの「こんにちは」
天皇皇后両陛下は、12日、上皇ご夫妻から引き継いだ「こどもの日」にちなんだ訪問として、熊本県と鹿児島県の学校をオンラインで視察し、児童生徒と交流されました。
天皇陛下は、今年2月の誕生日記者会見で、「オンライン訪問には、感染症対策としての利点以外にも、同時に複数の場所にいる人々に会うことや、中山間地域など通常では訪問が難しい場所でも訪問できるという利点があることを実感いたしました」と述べ、これからも状況に応じた形でオンラインを活用していきたいと話されていました。
今年のこどもの日にちなんだ訪問は、新型コロナウイルスの感染拡大によりオンラインとなり、その利点を生かして、実際に訪問されるには移動が大変な中山間地域と島の子どもたちとのなごやかな交流となりました。
両陛下とのやり取りを詳しくお伝えします。
【熊本県高森町立高森中央小学校】
天皇皇后両陛下は、まず、町長や学校長らに対し、新型コロナウイルスや5年前の地震、去年の豪雨被害の影響について気遣われました。
その上で、町が積極的に取り組んでいるICT教育について、メモを取りながら熱心に聞かれました。児童1人に1台のタブレットが配布されていることについて、陛下は「色々なご家庭もあり、通信の整備といったことが大変なのではないですか」「ICT教育を積極的に活用するのは、先生方のご準備も大変なこともあるのではないですか」などと尋ね、皇后さまも「10年前から考えられたのは、きっかけというか理由がおありになるのですか」と質問されていました。
子どもたちが画面に映ると、両陛下は満面の笑みになり、「こんにちは」と声を掛けられました。陛下は、「学校生活を送っていて一番楽しいことはどんなことですか」「一番好きな科目はなんですか」「これからどんな本を読んでみたいですか」などと一人一人に質問し、授業の中で新聞社と連携して紙面づくりを体験したことについて、「新聞づくりをやってみて、新聞の読み方、見方は変わりましたか」と尋ねられていました。
皇后さまが「仲の良いクラスですか」と尋ねると、6年2組の児童たちから「はいっ」という大きな声で返事があり、皇后さまは「とても元気の良いお返事が返ってきましたね」と嬉しそうに応えられていました。
最後に陛下は、「皆さんとこういう形でお会いできてとても嬉しいです。どうぞくれぐれも体に気を付けて有意義な学校生活を送ってくださいね」と語りかけ、皇后さまも「楽しく充実した毎日を送られること、運動会も楽しく良い運動会になるといいですね」と笑顔を見せ、両陛下は両手で手を振り、お別れの挨拶をされました。
【鹿児島県三島村立三島竹島学園】
鹿児島県三島村は3つの島からなり、竹島は人口63人(4月現在)。両陛下は竹島にある小中一貫校をオンラインで視察されました。
村長や校長からの説明を聞く中で、2019年、三島村の子どもたちが両陛下の前でアフリカの打楽器・ジャンベの演奏をしたことについて話が及ぶと、陛下は「大変素晴らしい演奏だと、とてもよく記憶しています」、皇后さまも「大変に素晴らしかったです、心に残っています」と話されました。
陛下は、島のコロナ対策について尋ねた後、「遠隔授業などの取り組みより、色々な可能性を広げていると思いますが、どのようなことが課題になるのでしょうか」と質問し、皇后さまは、全国から生徒が来て島の学校に通う留学制度について、「どのあたりからお子さんたちが来られているのでしょうか」などと尋ね、熱心に話を聞かれました。
次に、1人1台のタブレットを導入し、ICTを生かした遠隔授業に取り組む学校の様子がビデオで紹介されると、外国人の先生との英会話の朗らかなやり取りに、両陛下も一緒に声を立てて笑われる場面も。
その後、両陛下は児童生徒とにこやかに懇談されました。
陛下は、「一番やりがいを感じるのはどういう時ですか」「(ジャンベは)ギニアの楽器ですが、ギニアのことも興味ありますか。ギニアのことは勉強していますか」「海外の日本人の人とお話しするのは楽しいですか」「竹島でなければ体験できないこととは具体的にどういうことですか」などと質問されていました。
皇后さまは、他校との交流について「お友達が増えていいですね」「皆さんの島の環境とは違いますか」などと言葉を掛け、「英語の学習に関心があると伺ったのですが、英語はいかがですか」「自然に恵まれていいですね」「海もずいぶんきれいなんじゃないでしょうか」などと尋ねられていました。
2時間に及んだオンライン訪問の最後に、陛下は、「オンラインではありましたが、活動の一端をお話やビデオを見せていただいたりして、私も嬉しく思いました」と述べ、皇后さまも「学校の様子を見せていただき、とても嬉しく思っています。大変感心いたしました」と感想を述べられていました。
※冒頭の動画は5月12日放送「news every.」より