禁断の2度付けも!“家ナカ”にお店の味を
感染拡大の影響で外食を控える一方、家での食事にこだわる人が増えています。そんな中、時短営業などで苦境の飲食チェーンや生産者が“家庭用”に続々とシフトしています。新たな動きを取材しました。
たっぷりのソースをつけていただく串カツ。飲食チェーンの「串カツ田中」が先月からはじめたのが――
串カツ田中ホールディングス広報・青木梢さん
「オンラインショップをオープンいたしました。冷凍の串カツを販売しております」
オンラインショップでの“冷凍串カツ”の販売です。
豚やハムカツなど、店で人気の食材が入っていて、自宅で揚げるだけで“お店の味”に。秘伝のソースもついていて“禁断”の2度付けだってできちゃいます。
現在、全国で100店舗以上が休業中だという串カツ田中。“冷凍食品”に力をいれるワケは…。
串カツ田中ホールディングス広報・青木さん
「外食業界もなかなか厳しいというところで、何かお客様にお届けできないかと考えたときに、串カツを冷凍にして、全国にお届けできる。串カツで1人でも多くの笑顔につながるのではないかと」
冷凍串カツを“家庭”で楽しんでもらいたいということです。
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今年に入ってからも休業が求められるなど、“苦境”が続く外食産業。こうした中、スーパーでは、冷凍食品の売れ行きに変化が。
ベニースーパー佐野店・赤津友弥本部長
「(冷凍食品の売り上げは)おととしと比べますと140%、150%という勢いで伸びております」
冷凍食品の売り上げが伸びているといいます。
買い物客 70代
「野菜とピラフ系とパスタですね。パスタいいよね」
買い物客 40代
「かなり多いので、いろいろ高級なおいしいものも出てきている」
ストックする人も多いといいます。
日本冷凍食品協会によりますと、業務用の冷凍食品の生産量が落ち込む中、家庭用は前年から1割以上増えて、調査開始の1981年以来、最多となっています。
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果物の加工などを行う会社も先月、新たに“家庭用商品”を販売。国産の果物を使った冷凍ピューレ。現在は、福岡県産のあまおうや、広島県産のレモンを使ったものなど5種類を展開しています。
もともと業務用の商品を作っていましたが、取引先の飲食店などが休業したことなどをうけ、家庭用の商品開発を進めることにしたといいます。
果実クラフト代表取締役・猫島和憲さん
「農家さんが困っているという話をきいていましたので、少しでも売り上げ貢献という形ができれば、全国の農家さんの助けという形に」
コロナ禍で出荷数が減った“果物農家への支援”でした。実際に、あまおうを生産している福岡県の農家は――
イチゴ農家・松尾康司さん
「一般の方も買いやすくしてもらえる、手にとってもらえる商品が出てくるのは、すごく、われわれ生産者としてありがたい。生産に注力できるし、ありがたい」
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また、生産品自体を“家庭用”にシフトチェンジした人も。
山下和磨さん(37)
「いったんキャベツで、もう仕方なしに」
岡山市でキャベツを育てている山下さん。もともとは首都圏の飲食店向けにサラダなどに使われる「エンダイブ」という高級野菜を育てていましたが――
山下さん
「去年の3~4月あたりから、出荷の需要が鈍って値段が落ちてきて、出しても出しても赤字という状況に」
一時、3600株を廃棄するなど、大打撃を受けたといいます。そのため…。
山下さん
「一般家庭でも消費していただけるキャベツを、全農さんと契約して、安定した値段で取引してもらうようにしました」
安定して取引のできる家庭用のキャベツに切り替え、今の苦境を乗り越えたいということです。
山下さん
「コロナ禍が収束したら、エンダイブも出荷したいと思います」
増える“家庭向け”商品。今後も広がりを見せそうです。