コロナで“アパレル在庫”増…新業態が脚光
新型コロナウイルスで買い物の機会が減るなどして、衣料品が売れ残り、在庫が積み上がる問題が深刻化しています。そんな中、複数ブランドの余剰在庫を仕入れて安価で売る「オフプライスストア」が全国で増えています。注目の新業態の狙いとは―。
■有名ブランド「8割引」も…買い物減
アパレル大手のワールドが運営する、埼玉県蕨市の店「アンドブリッジ」を訪ねました。
有名ブランドのアイテムが70%オフ、人気ブランドのワンピースが60%オフ…。8割引きで7万5680円引きになった上着もあります。この店は4月にオープンし、新品を毎日、セール価格で販売しています。
買い物客からは「すごい安かったです。いいものが本当に安くて」「色がかわいい」と喜ぶ声が聞かれました。
一方、別の買い物客の話からは、服を買う機会が減っていることが分かりました。
「(買い物が)減りましたね。テレワークばっかりなので、スーツは買わないですし、ずっと家にいるので服も全然買わないので、確かに久々に買った気がします」
「出かけなくなったんで、洋服を前よりは買わなくなったんですけど、安く買えて良かったです」
この低価格実現の背景には、アパレル業界が抱える課題が関係しています。
■売れ残り…コロナで「在庫」深刻
大阪市内に、全国から売れ残った衣料品が集まる倉庫があります。所狭しと段ボールが並び、透明なプラスチック袋に入ったままの服が保管されています。
この余剰在庫の数は、日本では年間約10億6000万着(小島ファッションマーケティング調べ)とも言われていて、新型コロナウイルスによってその問題は深刻化しています。
余剰在庫を取り扱う企業・山本昌一代表
「コロナ(の影響)が来たのが(去年の)3月~5月だったので、ちょうど一番、春夏物を販売する時期にぶつかってしまった。コロナによって売れ残った在庫の量というのは、だいたい1.5倍~2倍になりましたね。僕20年間やってますけど、これが2倍になるなんてことはもう、本当に初めてですね」
■複数ブランドの「余剰在庫」仕入れ
アンドブリッジでは、さまざまなブランドから余剰在庫を仕入れています。
事業推進マネージャー・大久保泰秀さん
「いろいろな企業から余剰在庫を仕入れさせていただくことで、定価から割り引いた値段でお客様に提供する、オフプライスストアという業態でやっております」
これまでのアウトレットストアでは、基本的には在庫をそのメーカーの直販店が売っていました。一方、オフプライスストアの場合、複数のブランドから売れ残った在庫を安く仕入れて、販売します。
さまざまなブランドのアイテムをお得に買えるオフプライスストアは今、全国各地で増えています。
アンドブリッジでは、これまでアウトレットには出店していなかったブランドも取り扱い、350以上のブランドから幅広い服の組み合わせを提案し、もう一度人の手に渡るための工夫がされています。
大久保さん
「ブランド価値の棄損ということを防ぐためにブランド名(のタグ)を切って販売したりすることもありますが、われわれはしっかりとお見せすることで、お客様に新しいブランドとの出会いが生まれる場として、少しでも廃棄課題の解決につながればいいなと思っています」
(5月18日『news zero』より)