副反応・有効性…3つのワクチン違いは?
新型コロナウイルスのワクチンについて、新たにモデルナ社とアストラゼネカ社のワクチンを国内で承認しても差し支えないかが、20日に判断されます。現在、日本でも接種が進むファイザー社のワクチンも含め、これら3つのワクチンの違いについて解説します。
■重症者数が増加 7日連続で1200人超
19日、東京では新たに766人の新型コロナへの感染が確認されました。6日連続で前の週より少なくなっています。
3回目の緊急事態宣言が東京などに出されてから3週間を過ぎましたが、重症者数は増加しています。全国の重症者数の推移を見ると、18日も1293人と過去最多を更新し、7日連続で1200人を超えました。
■接種進む英米…新規感染「劇的な減少だ」
ワクチンへの期待が高まりますが、接種が進んでいる海外では、すでに飲食店の営業が再開されたり、マスク着用を不要とする指針が出されたりしています。
イギリスでは人口の3割弱が2回の接種を完了していて、今週からロンドンの観覧車や大英博物館、飲食店の屋内での営業などが再開されています。
(*イギリスの接種率/2回目完了「29.88%」/Our World in Data)
またアメリカでも、4割ほどの人が接種を完了していて、ニューヨーク州では19日から、ワクチンを接種した人に対して、屋内も含め原則、マスク着用を不要とする指針が適用されます。
(*アメリカの接種率/2回目完了「37.5%」/米CDCより)
アメリカでは先週、これまで接種の対象外だった12歳~15歳にも対象が広がり、すでに60万人以上が接種を受けたといいます。接種が進み、全米での新規感染者数は去年6月以来の低い水準になっていて、ホワイトハウスは「ワクチン接種の効果による劇的な減少だ」と評価しています。
■日本でも新たにワクチン承認へ
日本では、接種が完了した人は依然として少ない状況ですが、大きな動きがあります。
現在、日本で承認されているワクチンはファイザーのみとなっていますが、20日、新たにアメリカのモデルナと、イギリスのアストラゼネカのワクチンについて、厚生労働省の部会が安全性や有効性について審議します。そして、「承認して差し支えない」と判断されれば、厚生労働大臣が速やかに承認する見通しです。
■3つのワクチンどう違う?
現段階では「自治体ではファイザー」「大規模接種会場ではモデルナ」などと使用するワクチンを分けていますが、その後はまだ分からないという状況です。
アストラゼネカを含めたこの3社のワクチンについて、違いを詳しく見ていきます。
【接種回数】
接種回数はいずれも2回です。1回目と2回目の間隔については、ファイザーが「3週間」、モデルナは「4週間」で、アストラゼネカは「4~12週間」となっています。
【接種年齢】
接種する人の年齢は、ファイザーは「16歳以上」ですが、アメリカとカナダにおいては「12歳以上」となっています。臨床試験が行われ、新たに安全性と有効性が示されたためです。モデルナとアストラゼネカは「18歳以上」となっています。
【有効性】
気になるのが、発症予防の効果を示す有効性ですが、これは、ファイザーが「94.6%」、モデルナが「94.1%」、アストラゼネカは「70.4%など」となっています。
比較してみるとアストラゼネカのワクチンの有効性が低く見えますが、国際医療福祉大学成田病院・感染制御部部長の松本哲哉医師は「インフルエンザのワクチンに比べれば、極端に効果が劣るとは考えられない」と話しています。厚生労働省によると、インフルエンザワクチンの有効性はおおむね60%程度で、極端に効果は劣らないということです。
【副反応】
副反応について見ていきます。ファイザーもモデルナも一番多かったのは、「接種した部位の痛み」で、続いて「だるさ」や「頭痛」があったといいます。アストラゼネカは、イギリスで、100万人におよそ4人の割合で接種後に血栓症の報告があり、デンマーク・ノルウェーでは使用が停止になりました。ただ、ヨーロッパの医薬品当局は、「血栓は非常にまれな副反応」と位置づけていて、「ワクチンを打つ利益は、副反応を上回る」としています。
【アナフィラキシー】
アナフィラキシーについて、ファイザーは100万回あたり28例。ただし、日本では打ち始めたばかりで件数が多く報告されている可能性があります。モデルナは100万回あたり2.5例となっています。
24日からは、東京・大阪の大規模接種会場でモデルナのワクチンを使うことが検討されていますが、実際に接種した人に話を聞きました。
アメリカ国立研究機関の研究員である峰宗太郎医師は、2月に2回目の接種を受けたといいます。種類はモデルナのワクチンでした。接種後の体調変化について峰医師は、1回目の接種後、「2日間にわたって筋肉痛のような痛みが出た」といいます。2回目の接種後は、1回目と同様の痛みのほかに、「翌日から全身に、風邪のひき始めのような倦怠感が出た」そうですが、「3日目には元に戻った」といいます。2回目の方が副反応が出た人の割合が多く報告されていますが、峰医師も2回目の体調変化が大きかったと話しています。こうした副反応について峰医師は、「体がワクチンに反応して、免疫ができる過程だと理解すればいい」と話しています。
【変異ウイルスへの効果】
最後に、変異ウイルスへの効果についてです。ファイザーは、「イギリス型とブラジル型については、従来のウイルスと同じくらいの効果」、「南アフリカ型については効果が下がる」としています。
モデルナは、「イギリス型とブラジル型に効果がみられた」とし、「南アフリカ型には効果が下がる」としています。アストラゼネカは、「南アフリカ型に対しては効果が低い可能性」が指摘されています。
インド型については、現在、研究中だということです。
■「打てる機会に逃さず接種を」
日本では一般の人への接種はまだ先になりそうですが、前出の松本医師は、「『この(会社の)ワクチンしか打たない』と決めてしまうと、接種のタイミングを失うかもしれない。打てる機会がきたら、逃さずに接種してほしい。流行を抑えるためには早めに打つことが重要」と話しています。
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新型コロナのワクチンは新しいワクチンであるだけに、効果や副反応について疑問や不安を訴える声が多くあります。誤解をなくし、正しい知識を共有していくためにも、国にはデータに基づいた情報を積極的に公開しながら、ワクチン接種を進めていくことが求められます。
(2021年5月19日16時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)