ワクチン副反応「重大な懸念は認められず」
新型コロナウイルスのワクチンの副反応を検討する厚生労働省の部会は、新たに報告されたアナフィラキシーの例や死亡例を精査した結果、「重大な懸念は認められない」との見解をまとめました。
厚労省によりますと、ワクチン接種後に亡くなった人は、今月7日までに、新たに20人報告されたということです。年齢は20代から90代で、死因は「くも膜下出血」や「心不全」「老衰」などで、専門医らの分析では、「ワクチンとの因果関係は評価できない」または「評価中」でした。この結果を受けて、部会は、「接種体制に影響を与える重大な懸念は認められない」という見解をまとめました。
部会では、「老衰」の死亡例まで報告すべきかどうか議論されました。委員らは、高齢者の接種が進むと、死亡例の報告が増える可能性があるという見方を示しましたが、死亡とワクチンとの因果関係が「ない」と証明することは非常に難しい、高齢者の死因は詳しく調べない場合もある、などと説明しました。
その上で、ある委員は、「死亡がワクチン接種と関連するように受けとられる可能性があり、怖いので接種を受けないと考える人が出てくるのが心配だ」と話しました。そして、委員らは「高齢者は体調の良い時にワクチンを打つことが大切だ」と強調し、「接種の予約がとりにくいと伝えられると、体調が悪くても、予約した日に接種しなくては、と考えるかもしれないが、6月の半ばにはワクチンが潤沢に行き渡るので、体調が悪い時は無理しないで」と呼びかけました。
一方、部会では、ワクチン接種後のアレルギー反応も検討され、国際基準でアナフィラキシーだと判定されたのは、2月の接種開始から今月2日までの累計で107例と発表されました。今月2日までの接種回数は約382万回で、アナフィラキシーの発生頻度は、接種100万回あたりでは28件、約3万5700回に1件となり、部会は、「接種体制に影響を与える懸念は認められなかった」という見解を示しました。