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「就活セクハラ」実態と対応は 学生が動画

2021年5月22日 11:42
「就活セクハラ」実態と対応は 学生が動画

■OB訪問で「見返り」要求

悩んでも言い出すことが難しいのが、就職活動中のセクハラ、“就活セクハラ”です。思い悩み、進路に影響を及ぼす深刻なケースもあります。社会人2年目の女性(23)に話を聞きました。

「採用の面接中に、『男性相手に愛きょうを振りまけないからモテないだろうね』って(言われました)。人事部長さんだったので、そういう(セクハラの)知識はおありだと思うんですけど…」

別の企業のOB訪問をした際にも、見返りとして合コンや食事にしつこく誘われました。

「『僕がきょう、君のOB訪問を受けた代わりに、お礼をしてほしい。3対3で食事したいから女の子を呼んで』って(言われました)。その会社が、当時は第一志望だったので、断れずに(合コンを)セッティングしました。学生だから立場が弱いからって、下に見られるのはやっぱり嫌だなと思いますね」

女性はこうした就活セクハラに悩み、志望業界への就職を諦めたといいます。

■被害でも「対応せず」4人に1人

厚生労働省が4月に発表した「職場のハラスメントに関する実態調査」によると、就活セクハラを経験した人の割合は、男性が26%、女性が25.1%で、約4人に1人が被害に遭っているという結果でした。

ただ、誰かに相談するなどの対応をしたかどうかに関しては「何もしなかった」と答えた人が24.7%(男女平均)で一番多くなりました。

■事例や対処法…大学HPに「動画」

そこで、自身も就職活動中という大学生(21)が動きました。就活セクハラを防ぐための動画を作成し、金城学院大学のホームページに公開しました。

動画を作成した大学生
「(就活での)セクハラ被害があるというのが信じられなくて、これは女子大学生の私だからこそ発信すべき内容だなと(思いました)」

イラストを使った動画では、ウェブ面接でのセクハラ事例が紹介されています。たとえば、面接官の「人事太郎」が「ウェブカメラを動かして、部屋の奥の方も見せていただけますか」と求め、就活生の「金城花子」が「え? 奥の部屋を見せるんですか?」と困惑するやり取りなども。このほか、実際の事例や言われた時の対処方法を確認することができます。

■専門家が助言…対処法は

動画を作成した大学生
「もし被害にあっても泣き寝入りしてしまわないように、就職活動をするにあたって、被害の認識と正しい対処法を身につけてほしいです。社会人の方も(動画を)見られるので、間接的に企業などのセクハラを抑止して、予防につながるのではないかなと(考えています)」

動画では一般社団法人「日本ハラスメント協会」の村嵜要代表理事が、セクハラを言われた時の対処方法として、「『申し訳ございません。選考や今回、応募させていただいた業務に直接関係するご質問でお願いします』と笑顔で答えるのが良い」と助言しています。

就活セクハラで悩んだ時は、大学や同協会の「就活ハラスメント無料相談ホットライン」(050-5359-8520、月曜~金曜の午前10時間~午後6時)に相談してほしいということです。

(5月21日『news zero』より)