航空会社の新サービス“機内ウエディング”
新型コロナウイルスの影響で経営が厳しい航空業界で、新たなサービスが始まりました。その名も“機内ウエディング”。手探りで進められた準備の様子を取材しました。
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司会
「どうぞ、誓いのキスを」
司会
「おめでとうございます!」
結婚式を挙げる新郎新婦。実はこの場所、飛行機の中なんです。新型コロナの影響で利用者が減少している全日空。空港に留め置かれている航空機を利用した結婚式、“機内ウエディング”を始めました。
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このおよそ1か月前、東京・港区では担当者らによる会議が行われていました。余剰機材での結婚式は全日空にとっても初めての試み。さまざまな場合を想定して協議が進められていきます。
機材の担当者
「使用するタラップ、屋根付きのものとそうでないものがありますが」
機内ウエディング企画担当 芳賀一樹さん
「当日の天気によって臨機応変に対応いただきたい」
多くの疑問点はリハーサルで解消していくことに。
そして、実際に空港や航空機を使っての事前リハーサル。エキストラに新郎新婦や参列者を演じてもらい、流れを確認していきます。
進行しながら、たびたびメモをとる担当者。さらに機内でのリハーサルでは予想外のトラブルが…。
3分で機内の空気を入れ替える換気システムのため、空調の音が強く、事前に用意していたスピーカーでは司会の音が聞こえにくくなってしまったのです。
Q.機内の音、意外とありますよね?
ハセガワエスティ 阿久津五代子社長
「(音が)聞こえづらいと思うので、当日はスピーカーを2つ増やしてやっていこうと思います」
担当者は機内でもメモをとり、細かく確認を進めます。
一方、式の1週間前、新郎新婦との最後の打ち合わせが行われていました。今回、機内ウエディングを挙げる村上徹さんと麻美さん。コロナのため式は挙げない予定でしたが、この企画を見つけ、“運命”を感じたといいます。
村上徹さん
「2人が飛行機も好きだし、旅行も好きだし」
村上麻美さん
「親族や仲良しの方だけにお声がけして、良い式にしたいと思います」
コロナ禍だからこそできる結婚式。
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そして当日、雲一つ無い快晴に恵まれた羽田空港。
新郎新婦を出迎える花道は、現在閉鎖中の第2ターミナル国際線ロビーを貸し切り。コロナ禍の空港でしかできない、航空会社ならではのサービスです。その間にも、担当者らは忙しく動き回り、段取りを確認します。
そして機内へ。この日のために飾られた電動カートに乗って登場した新郎新婦。搭乗ゲートを通過して機内へ向かいます。
そして行われた“機内ウエディング”。普段は顔を見せることのない機長からのメッセージや…。
「ANAボーイング777で行くハッピーアイランド地方の天候は雲ひとつない快晴」
客室乗務員によるアナウンスで盛り上げました。
機内での式のあとは、タラップを降りての記念撮影。
新婦・村上麻美さん
「夢のような時間でした」
新郎・村上徹さん「本当に忘れられない結婚式になりました」
この日のために準備を進めてきた担当者は…。
機内ウエディング企画担当 芳賀一樹さん
「順調です。きょうはお天気もよくてよかったです」
“機内ウエディング”は今月と来月で残り6回開催され、挙式のみでおよそ150万円。すべて成約済みだということです。