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五輪「中止」「開催」で…感染者に変化は?

2021年5月26日 11:51
五輪「中止」「開催」で…感染者に変化は?

開催まで2か月を切った五輪。「開催」と「中止」で都内の新型コロナウイルス感染者数がどう変化するか、東京大学大学院のグループが試算しました。無観客開催で人出の増加をゼロに抑えると、「中止」と大差ないことが判明。一方で、人出が増えた場合は―。

■「中止」で10月に都内「822人」

有働由美子キャスター
「オリンピック・パラリンピックを開催したら感染者数がどう変化するのか、シミュレーションが発表されました」

小野高弘・日本テレビ解説委員
「東京大学大学院の仲田泰祐准教授と藤井大輔特任講師によるシミュレーションです。5月16日までの感染者数を基に、都内の感染者数がどう推移するか試算したものです」

「緊急事態宣言が延長され、6月中旬に解除されるという想定です。まず、オリンピックが中止となった場合。都内の感染者は7月から徐々に増加し、10月中旬にピークを迎えて、1日あたりの新規感染者数は822人になるという予測です。これは、国内でのワクチン接種が1日60万回のペースで進むという仮定に基づいています」

■選手と関係者の入国「影響」は…

小野委員
「次に、会場を無観客にするなど市民の人の流れの増加を0%に抑えて開催した場合。つまり、オリンピックをやったからといって、市民がむやみに動いたりしない場合はどうでしょうか。中止した場合より感染者は20人だけ増えた、842人とはじき出されました」

有働キャスター
「そうすると中止でも無観客でも、感染者数は大差ないということですね。世界中から7万人の選手・関係者が日本に来ると想定されていますが、そこからの感染の心配はどうですか?」

小野委員
「そこは皆さん心配ですよね。ただ、選手らが来ることによる影響は限定的というのが、このグループの分析です。たとえ10万5000人が来日しても、東京都の人口1400万人に比べたら1%にも満たない数でしょうし、選手らの半数はワクチンを2回接種していると考えて、影響は限定的という見立てです。選手たちも、固まって選手村に入ると思われます」

有働
「なるほど。一方で、パブリックビューイングに行くなどして人の流れが生まれた場合はどうなるのでしょうか?」

小野
「応援に出かけるなどして人の流れが2%増えた場合、10月中旬のピーク時に都内の感染者数が1046人になると試算されています。このため、感染を抑えるために『パブリックビューイングなど人が集まるイベントは避けて、いかに人出を抑えるかがポイントになる』とグループは指摘しています」

■開幕迫る中…落合さん「戦々恐々」

有働
「開幕まで2か月を切ったわけですが、どう考えますか?」

落合陽一・筑波大学准教授(「news zero」パートナー)
「オリンピックはすごく応援していた立場でしたが、最近は複雑な気持ちだなと思っているところもあります。例えば、『やめろ』と言っている方もあまり科学的ではない主張をしているし、『やる』と言っている方も実はきちんと説明できていない。このままだと6月、僕たちは異常な不協和な世界、世間を生きることになるんだなと思って、戦々恐々としています」

有働
「その辺りですよね。もう2か月を切っていますので、『安心安全な大会』という掛け声だけではなくて、具体的にどうやって人の流れを抑えるのか、丁寧に届くように伝えてほしいと思います」

(5月25日『news zero』より)