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昇進ナシも…パタハラ「4人に1人」実態は

2021年5月27日 10:15
昇進ナシも…パタハラ「4人に1人」実態は

育児参加する男性への嫌がらせ「パタハラ」(パタニティ・ハラスメント)が後を絶ちません。国の調査では約4人に1人が経験し、育児休業の取得で昇格がなくなった例も。育休を取りやすくするため、この国会で法律が改正される見通しです。その中身は―。


■「前例がない」 半年前から準備

育児に積極的に関わるために、育児休業を取ろうとする男性は少なくありません。さいたま市で26日、約1年間の育休を取得中の男性(27)に話を聞きました。

8か月の長男と遊ぶ男性は公務員。妻と子を支えたいという強い思いで育休を取りましたが、万全の準備をしたといいます。

男性
「1年というのがなかなか、前例がなかったので、取得の約半年以上前に上司に相談しました。周囲はありがたいことに、非常に背中を押してくれるような声も多くて、取得に際しては、かなりポジティブな反応をいただきました」

■26.2%が「ハラスメント」経験

一方で、「パタハラ」(パタニティー・ハラスメント)と呼ばれる、育児休業などを理由にした男性への嫌がらせが深刻な問題になっています。

厚生労働省が4月に発表した「職場のハラスメントに関する実態調査」によると、過去5年間に、育休などに関する嫌がらせを「受けた」と回答した働く男性は26.2%。約4人に1人にのぼりました。

■復帰すると「昇格」ナシに

一昨年、第2子が生まれるタイミングで育休を取ることにした男性(34)は、パタハラを受けたといいます。

「両親が遠方にいて、出産や出産後、何かしらのヘルプをもらえないのが(事情として)ありました」と経緯を語る男性。このころ、職場で昇格の話があったため、上司に相談しました。「1~2か月なら影響はない」と言われ、2か月間の育休に入ったといいます。しかし復帰後、思わぬ事態となりました。

「『育休を取ったから、今回昇格させられなかった』ということを、上司から伝えられました」

このことが後押しとなって退職。この後、別の仕事に就きましたが、男性は育休を取得した意義を噛みしめています。

「子どもの成長がすごく速いので、その時期に一緒に子どもと向き合えたのは非常に大きいかなと思っています」

■実態は…上司の「妨害」53.4%

有働由美子キャスター
「まだまだこういうケースはあるのですね。実際に育休を取ろうとした男性がどんなハラスメントを受けたかという、アンケート結果があります」

「厚労省の『労働省等調査/男性の育児休業等ハラスメント』によると、『育休を取らないように上司から言われるなどした』が53.4%、『昇進・昇格などで不利益な評価を受けた』が22.1%、『減給や、賞与などでの不利益な査定』が13.7%でした。こういうことがあると、育休は取りづらくなります。そんな中、法律を変える動きがあります」

■法改正…男性の「育休」増やすには

小栗泉・日本テレビ解説委員
「育児介護休業法の改正案で、この国会で成立する見通しです。ポイントは4つあり、育休を取りやすい環境整備としては2点あります」

1)社員の側が妊娠や出産を申し出たら、企業の側から「育休を取りますか?」などと確認するよう義務付ける
2)従業員1000人以上の企業に育休取得状況の公表を義務付ける

有働キャスター
「義務付けるとなると、取得はしやすくなりますよね」

小栗委員
「そうですよね。そして、柔軟に育休が取れるようにするためのポイントが2点あります」

1)男性にはこれまでなかった、「出生時育休」を新設する
2)「出生時育休」とは別に、子どもが1歳になるまでの間に、育休を2回まで分割して取れるようにする

小栗委員
「『出生時育休』では、産後8週間以内に2回まで分割して取得できます。また、母親が職場復帰する時など、育児の手がどうしても必要になるタイミングに合わせて、1歳までに育休を2回まで分割して取れるようにします。そうすることで、男性も計4回、フレキシブルに育休を取得できるようになります」


(5月26日『news zero』より