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尾身会長「無観客で」 “矛盾”に懸念も

2021年6月19日 12:59
尾身会長「無観客で」 “矛盾”に懸念も

政府分科会の尾身会長ら専門家は18日会見し、五輪は「無観客」で開催するよう提言。市民に対する「矛盾したメッセージ」への懸念も示しました。組織委員会の橋本会長は、無観客を「望ましい」としつつ、政府の方針を踏まえて観客上限を決める考えを示しました。

■インド株のリスク「間違いない」

東京オリンピックの開催が迫る中、政府分科会の尾身会長ら専門家は18日夜に会見を開き、「無観客」での開催を提言しました。

尾身会長
「私どもは、(新型コロナウイルスの感染)リスクとしてはやはり会場内の感染拡大については無観客、観客を入れないという方法が、感染リスクが低くて、これが望ましい方法だと考えております」

「今の日本、東京もそうですが、感染がこれからまた少しずつ増えていくというリスクはある。インド株(変異ウイルス)に徐々に換わってきているリスクは間違いなくあるので」


■観客「アリ」なら…3つの提言

観客を入れるのであれば3つの点を考慮するよう、専門家は訴えました。

1) 観客数は他の大規模イベントと同じ「上限1万人」よりも厳しくすること
2) 観客は開催地に住む人に限り、都道府県をまたがないこと
3) 感染拡大や医療ひっ迫の予兆があれば、無観客とすること

尾身会長
「選手というのは、このオリンピックという、一生に一度あるかどうかということに、本当にもう心身を集中して、ずっと努力をしていたわけですよね。そうした人の思いを叶えられればいいなという思いは、かなり強くわれわれにもありました」

「リスクを客観的に見て、それを客観的に専門家として評価して提出するということですので、最終的には決断は政府の役割だし、そういうことをやっていただければ」

■橋本会長「観客上限を決めたい」

首相官邸で、受け止めを記者に聞かれた菅首相は質問に答えず、歩き去りました。

一方、大会を運営する組織委員会の橋本会長は「感染のリスクを避けていくためには、無観客が望ましいと思っていますが、Jリーグやプロ野球などがしっかりとしたエビデンスを作り上げてこられたという実績がございますので」と話しました。

「21日には五者協議を開催し、政府の方針を踏まえて観客上限の決定を行ってまいりたいと思っております」と説明しました。

■子連れ観戦できず…「仕方ない」

国立競技場で陸上が見られるチケットを持っている、奈良県の男性に話を聞きました。

「当初思っていた通りの開催ができないこと自体は、仕方ないことなのかなと。当初は子どもも連れて行って、ぜひ聖火とかそういったものも見たいという思いはありましたが、子どもを連れていくという選択肢自体は、現状では難しいのかな」と残念がりました。

感染対策に協力するために、一定の制約を受けることに理解を示しました。尾身会長も、国民の協力を得る必要性を強調しました。

尾身会長
「観客がいる中で深夜に及ぶ試合を実施するとか、路上での飲食をして盛り上がるというものがメッセージとして出されると、感染対策に一生懸命協力している一般市民にとって、矛盾したメッセージが発出される」

「こうしたリスクをどう認識し、いかに軽減するのか、どのような状況になれば強い措置を講じるのかなどに関する考え方を、(政府などには)早急に市民にお知らせ願えたらと思います」

(6月18日『news zero』より)