不漁の「サンマ」が… 北海道オホーツク海沿岸で“入れ食い” 釣り客は歓喜
近年、不漁が続くサンマですが、北海道オホーツク海の沿岸に大量のサンマが押し寄せる異変が起きています。釣り糸を垂らせば、入れ食い状態。サンマ目当てに多くの釣り客が訪れているということです。
◇
“北の海”が活気に満ちあふれていました。
オホーツク海に面する北海道雄武町。6日に岸壁に大挙して押しかけた釣り人たちのお目当ては、かつての大衆魚で、今や“高級魚”と化した、秋の味覚「サンマ」です。5日の夜に、真っ暗な海にライトを当てると、大きな水しぶきが上がるほど大量のサンマの姿がありました。
同じく、オホーツク海に面する紋別市の岸壁から水中にカメラを入れると、ところ狭しと泳ぐサンマの姿が捉えられました。
都内の鮮魚店では、250円から300円ほどで販売しているサンマが、複数の港で“入れ食い状態”となっているのです。
実際に、網走の港で釣りをしたという人は――
網走でサンマ釣りをした西川健太さん
「光を照らすと、一面サンマだらけでウジャウジャ」
わずか3時間で、釣果は約150匹。サンマはしっかり脂がのっていて、さまざまな料理にして食べているということです。
◇
サンマの全国水揚げ量は、去年は約1万8000トンと過去最低の水揚げとなり、今年も先月末の時点で約1万1000トンと、不漁傾向が続いていました。(※「全国さんま棒受網漁業協同組合」調べ)
地元の漁協も、「これほど大量に現れるのは、非常に珍しいことだ」と話します。
なぜ、サンマが大量に、しかも岸壁の近くに姿を表すようになったのでしょうか。
水産研究・教育機構 広域性資源部 久保田洋副部長
「水温が下がってくると、沖の方から冷たくなってくるので、沿岸に寄せられてくる」
専門家は、オホーツク海の沿岸部の水温が比較的高いため、サンマが集まってきている可能性を指摘しました。ただ、サンマの生態には謎も多く――
水産研究・教育機構 広域性資源部 久保田洋副部長
「わからないですね。僕も北海道に住んでいれば釣りに行きたいと思いますけどね」
◇
“大衆魚”サンマの復活に、大きな期待を寄せる人がいます。都内にある居酒屋、その名も「秋刀魚」です。近年はサンマの不漁が深刻だったため、“看板”に掲げるサンマを思うように提供できない悔しさもあったといいいます。
居酒屋「秋刀魚」店主 山風呂真之さん
「どうしようかな、看板を取り換えないといけないかなという状況まで追い込まれて」
現状では、仕入れ値などに恩恵はないということですが――
居酒屋「秋刀魚」店主 山風呂真之さん
「うれしいことですね。安くおいしいものを食べていただく。ずっとまた、来年も再来年も続いてくれればいいなと思います」
「全国さんま棒受網漁業協同組合」は、「限られた地域での短期的な現象の可能性はあるものの、久しぶりの明るい話題だと考えている」ということです。