×

ありがとう、シャンシャン 写真を撮り続けた男性「大切な娘のような感じ」…21日、中国へ

2023年2月20日 21:35
ありがとう、シャンシャン 写真を撮り続けた男性「大切な娘のような感じ」…21日、中国へ

21日、上野動物園のジャイアントパンダ「シャンシャン」が中国に返還されます。休園日の20日も周辺にはファンが訪れ、思い思いに別れを惜しみました。19日には最後の観覧が行われ、ファンの中には抽選に当たった人も当たらなかった人も…。それぞれの思いを取材しました。

     ◇

20日は休園日の上野動物園。それでも午前10時ごろ、シャンシャンに「ありがとう」を伝えに来た人からは、別れを惜しむ声が聞かれました。

ある女性は園内に向かって小さく手を振り、「元気で」とつぶやき、涙をハンカチで拭っていました。

カメラでパンダのいる方向を撮影していた女性は「見えないんですけど、一応、心の目で見て」と話してくれました。ほかにも「本当にもう、シャンシャンには『ありがとうございます』と。上野のアイドル」と笑顔を見せる人や、「会えないのはわかってたんだけど、近くにいられる感じを」と話し、入場ゲートを撮影してる人もいました。

周辺には“少しでもシャンシャンの近くにいたい”という思いからか、多くのファンの姿がみられました。

週1回は動物園を訪れていたという夫婦も、シャンシャンとの別れを惜しんでいました。女性は「自分でも不思議なぐらい、とってもシャンシャン大事だし、大好きだし。だから(中国へ)行ってしまうのが、寂しいです」と話します。動物園の外からパンダ舎の方を撮った写真に、シャンシャンの姿はありませんでしたが、女性は「いるうちに見えなくても、近くで。それだけで、そこにいるって思うだけで…」と話しながら、シャンシャンへの思いが込み上げていました。

     ◇

メスのジャイアントパンダ・シャンシャンは上野動物園で生まれ、その愛らしい姿に多くの人が魅了されました。

午後1時すぎ、パンダグッズを販売する「上野案内所」ではグッズを手に取るファンの姿が見られました。グッズを手に取る人々からは「あした(中国へ)行ってしまうので、『シャンシャンに触れたいな』と思って」「きょう、動物園お休みってわかっているけど、あえて。名残惜しいですよね」「お土産、シャンシャン(のぬいぐるみ)です」といった声が聞かれました。

     ◇

シャンシャンは21日、中国へ旅立ちます。観覧最終日の19日も、動物園の前には行列ができていました。事前抽選の倍率は約24倍、最終組は約70倍に上りました。シャンシャンの観覧に『“パンダ運”を使った』という人は「かわいかったですね」、「とにかくシャンシャンは、『かわいい』の一言です」と目を細めました。

他にも、パンダグッズを多く持っていた女性に、シャンシャンのグッズでそろえたのかと尋ねると、「そうですね。ほぼシャンシャンで」とうなずき、「『ありがとう』と言いたいと思います」と話していました。

写真と動画の同時撮影を試みた人もいました。高氏貴博さんは12年もの間、ほぼ毎日、上野動物園に通い、写真を撮り続けたといいます。高氏さんは「シャンシャンはもう、家族同然の、自分の大切な娘のような感じ」と話していました。

     ◇

シャンシャンの姿を見ることができた人がいる一方、最終日に見られなかった人もいました。

19日、パンダファン歴・約50年の小針恵美子さんが、神奈川・横浜市の自宅にある自慢のパンダグッズを見せてくれました。

小針恵美子さん
「これが1歳の時の誕生日の時で、これもシャンシャンが生まれた時のかな。思い出せます、見ると」

小針さんは先週17日の観覧に当選し、シャンシャンの姿を目に焼き付けてきたといいますが、「きょう、(シャンシャンのこと)なおさら考えちゃいますね。会えなかったというのがありますから…」と話しました。小針さんはお手製のうちわを動物園の方角に向け、思いをはせていました。

     ◇

都内では、“シャンシャンへの思い”をカタチに残す人もいました。

シャンシャンのファン
「(シャンシャンが)いいパートナーに巡り会えるかもしれないので、じゃあウエディングドレスを作ろうと思いました。お嫁に出す親の気持ちです」

先日、シャンシャンは初めて発情の兆候が確認されました。その報告を受け、シャンシャンのぬいぐるみに着せる「ウエディングドレス」を制作しているといいます。

シャンシャンのファン
「ますます大きくなって、幸せでいてくれたらいいなと」

     ◇

多くの人に愛されたシャンシャンは21日午後、成田空港から中国へ旅立ちます。