上野で生まれた「シャンシャン」と私の5年間~“名付け親”の少女「お互い成長してるなって」
今月21日に中国に旅立つ上野動物園のジャイアントパンダ「シャンシャン」。この旅立ちに、ひときわ特別な思いを抱く人がいる。「名付け親」の1人、中学2年生の倉田栞帆さんだ。
2017年6月に上野動物園で生まれたメスのジャイアントパンダ「シャンシャン」。メスのシンシンとオスのリーリーの子として生まれた。愛くるしい姿で早くから注目され、翌7月末から始まった名前の募集には32万2000件を超える応募が寄せられた。
「シャンシャン」と名付けたのは5161人。代表としてこの年10月の「名前おひろめ会」に招待された3人の中で、最年少だったのが当時、小学3年生の倉田栞帆さんだった。この時、栞帆さんは、上野で生まれたことにちなみ、「上はシャンと読むからシャンシャンにしました」と語っていた。
あれから5年あまり――中学2年生になった栞帆さんは、シャンシャンの返還を前に「すごく寂しい。心にぽっかり穴があいたような感じ」と話す。2年ほど前、東京から神戸に引っ越したという栞帆さん。シャンシャンにはなかなか会えなくなったものの、ニュースなどでシャンシャンの名前を耳にするたび、「自分がつけた名前で呼んでくれている!」と嬉しく思っていたという。さらに、ここ一番というときは“パンダグッズ”を持っていく。
「定期テストなどのときは、パンダのかばんで行きます。モチベーションが上がる」
今年1月初め、上野動物園を訪れ、シャンシャンにお別れをした。
「『初めての長旅、頑張ってね。中国に行っても元気でね』と言いました」
50年前、日中の友好の証しとして初めて日本にやってきたジャイアントパンダ。日本で生まれたシャンシャンが中国に“帰る”ことで「日本と中国の関係も、もっといいものになったらなと思います」と栞帆さんは願いをこめる。
5年あまり前、栞帆さんが「名付け親」の1人となったシャンシャン。当時6キロほどだったシャンシャンの体重は、いまや90キロを超え、栞帆さんの身長も30センチ伸びた。苦手だった長距離走も少し楽しめるようになった。絵を描くのが好きで、当時は紙にペンでシャンシャンの絵を描いていたという栞帆さんだが、最近、タブレットでデジタルイラストに挑戦している。
「シャンシャンと私、お互い成長してるなって思います」
人々を魅了してやまないシャンシャン。多くの人の思いを背負い、今月21日、中国に旅立っていく。