「飲む中絶薬」初めて承認へ――産婦人科医「スッと中絶されるわけではない」指摘も、増える選択肢 これまで申請なしナゼ?
海外で広く使われている「飲む中絶薬」が日本で初めて、厚生労働省の部会で承認を了承されました。国内の中絶は2つの方法で行われていますが、1つはWHO(=世界保健機関)に「時代遅れ」と指摘され、飲み薬は新たな選択肢となります。ただ医師によると、注意点もあります。
■妊娠63日目まで対象…臨床試験は?
岩本乃蒼アナウンサー
「『飲む中絶薬』と呼ばれる薬について、厚生労働省の部会が国内で初めて承認を了承しました。村上さんはこの薬をご存じでしたか?」
村上茉愛・東京オリンピック体操女子ゆか銅メダリスト
「初めて知りました」
岩本アナウンサー
「イギリスの製薬会社が開発した『メフィーゴパック』という錠剤タイプで、妊娠後63日目までの方が対象です。1つ目の錠剤を服用して36~48時間後に2つ目を服用し、中絶を促すものです」
「国内の中絶を希望した妊婦を対象にした臨床試験では120人のうち93%が、24時間以内に中絶に至ったということです。海外では他の薬を含めて入院の必要がなく、こうした薬は65か国以上で使用されています」
「産婦人科専門医の稲葉可奈子医師は『飲めばスッと中絶されるわけではなく、腹痛や出血に自分で対応する必要がある』と説明しています」
■吸引法と掻爬法で…1日400件
岩本アナウンサー
「今、日本では年間約15万件、1日あたり400件近くの中絶が行われていますが、その方法は2つ。管で吸い出す吸引法と、子宮に器具を入れてかき出す掻爬(そうは)法です」
「しかしWHOは『かき出す方法は時代遅れだ』として、吸引法や飲む中絶薬に切り替えるべきだと指摘しています」
「この点、稲葉医師によると、そもそも日本の中絶手術は技術が高く、安全で約15分で終わるということです。そのため医療現場では、必ずしも飲み薬という形を必要としてこなかった背景もあるそうで、これまで申請がされてこなかったということです」
「厚労省は『薬の有効性、安全性に問題があるという大きな指摘はなかった』としています」
■村上さん「男性も一緒に考えて」
村上さん
「中絶という選択は女性の人生が変わる、身体的にも精神的にもとても負担が大きいことだと思います。選択肢が3つに増えることはとても良いことだと思います」
「私自身、少し前は中絶という言葉に、女性1人で考えるというイメージがありました。女性も男性もそれに目を背けないで、一緒に考えていくことが今後、必要になってくるかなと思います」
岩本アナウンサー
「話し合う、考えるということですよね。厚労省の正式な承認は2月、一般からの意見を募集した上で、早ければ春になる見通しです」
(1月27日『news zero』より)