「いじめ」で小山田氏“辞任” 急転ナゼ?
東京五輪で要となる人が、またも辞任しました。開会式で作曲を担当していた小山田圭吾さんが、過去にいじめをしていたことが発覚。組織委員会は続投させる方針でしたが、一転して辞任となり、楽曲使用も白紙になりました。その舞台裏を取材しました。
■続投方針も官邸が「辞任」主導
東京オリンピックの開会式で作曲を担当していた小山田圭吾さんが過去にいじめをしていた問題をめぐり、組織委員会は小山田さんを続投させる方針でしたが、急きょ、風向きが変わりました。
有働由美子キャスター
「なぜ一転して辞任になったのでしょうか」
小野高弘・日本テレビ解説委員
「組織委員会より政権幹部の方が、強い危機感を持ったようです。政権幹部らが小山田さんの問題の発言を把握したのは数日前でした。ある政権幹部は『いじめの内容がひどすぎる。多様性や人権を重視するオリンピック憲章にも反するし、このまま残すわけにはいかない』『辞任は避けられない』という認識でした」
「一方、組織委員会側は『今辞任させたら開会式に間に合わない。謝罪文で十分ではないか』と難色を示したといいます。この間、政府と組織委員会の間で水面下で調整が進められていました」
「しかし、政府関係者によると、菅首相をはじめとする官邸の拒否反応が強く、最終的には組織委員会側が折れました。表向きは小山田さんが自ら辞任を申し出ましたが、実際には官邸が辞任を主導した形です」
■相次ぐ辞任劇 組織委の対応は
有働キャスター
「開会式に間に合わない―。それはそうでしょうが、それはあくまでも主催者側の都合であって、一番大事にしなくてはいけない理念の部分が後回しになったというのは非常に、本当に残念です。それにしても、これまでも要になる人たちの退任・辞任が続いていますよね」
小野委員
「差別や侮辱が問題になってきました。2月には組織委員会の前会長森喜朗さんがJOCの評議員会で『女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる』などと発言して、女性蔑視の発言に批判が相次ぎました。ボランティアが辞退したり、スポンサー企業からも抗議の声が上がりました」
「3月には、開閉会式で演出を統括していた佐々木宏さんが、開会式の出演候補者だった渡辺直美さんの容姿を侮辱するような演出案を提案したことが明るみに出ました。『容姿を笑いものにするような発言は不適切だ』と批判されました」
■楽曲自体の使用も一転「ナシ」に
「こうした問題を受けて組織委員会は、『多様性と調和を実現できる大会にする』と誓ったはずでした。そこへ今回、また差別をめぐる問題が明らかになったのに、本人を続投させようとした。この対応にも批判が集まりました」
「19日夜7時ごろの時点では、政府関係者によると、楽曲はそのまま使用し、小山田さんのクレジットは入れない方向で調整していました。それが、そもそも楽曲自体を使用しないことが午後10時からの組織委員会の会見で発表されました」
「政府関係者によると、『パラリンピックの開会式まではまだ日がある。オリンピックで使って、パラリンピックでもそのまま使うというのはどうなのか』という意見が出て、これ以上二転三転しないように、使用をやめたといいます」
有働
「大会の理念である『多様性と調和』を尊重していない組織が、このオリンピックを運営している。今世界に届いているのは、そんなメッセージです。一方で、開会式に向けて一生懸命準備している人たちがいます。本番のパフォーマンスでは、この理念がしっかり届くと信じています」
(7月19日『news zero』より)