知りたい五輪雑学6 日本初メダルは誰?
オリンピックで観客たちの興味の的となるのが自国の獲得するメダルの数。日本はこれまで数多くのメダルを獲得してきましたが、初めてメダルをとったのが、いつの何の競技なのか、皆さんご存じでしょうか。
初のメダリストは意外な職業の人物でした。日本に初のメダルがもたらされたのは、1920年ベルギーのアントワープ大会でのこと。熊谷一弥さんと柏尾誠一郎さんが、テニスのシングルスとダブルスで銀メダルを獲得したものでした。
笹川スポーツ財団によりますと熊谷さんは、三菱合資会社銀行部(現在の三菱UFJ銀行)に勤める銀行マン、柏尾さんは三井物産に勤める商社マン。それぞれ会社員として、海外での勤務をする傍ら、テニスの国際大会に出場するなど実力をつけ、オリンピック出場にたどり着いたのでした。
熊谷さんにいたっては、1919年に全米3位にランキングされるほどで、メダルが確実視されていました。アントワープ大会では、大方の予想通り順当に勝ち上がった熊谷さんでしたが、連日の雨でコートコンディションが悪かったこと、さらに過酷なスケジュールが、シングルス・ダブルスに出場する熊谷さんにとってあだとなり、シングルス、ダブルスともに銀メダルに終わりました。
日本初のオリンピックでのメダル獲得にもかかわらず、大会後に熊谷さんは「返す返すも不測の敗北を喫したことは残念至極だ。私のテニス生活中、一生の不覚といっても過言ではない」と書き残し悔しさをにじませたといいます。
というのも、熊谷さんを筆頭に、当時の日本はテニス界でトップクラスの実力者が揃っていて、アントワープ大会の翌年、国別対抗戦デビスカップに初出場した時には、アメリカに敗れたものの、チャレンジカップ決勝まで勝ち上がり、日本のテニスのレベルが高いことを改めて証明してみせました。
写真:L’EQUIPE/アフロ