西日本に“災害級の大雨”「線状降水帯」も
前線の停滞により、西日本を中心に激しい雨が降っていて、福岡県と熊本県には集中豪雨をもたらす「線状降水帯」が発生したと発表されました。これに伴い、熊本県や大分県の一部には命を守るための行動を強く求める「緊急安全確保」が出されました。
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西日本を襲う「災害級の大雨」。
午後0時20分ごろ、熊本県南関町。町内を流れる関川が増水し、住宅街へとあふれそうになっています。その40分後、カメラに映っていたのは、川が氾濫した様子でした。堤防を越え、街をのみ込む濁流。わずか40分で川沿いの道路が見えなくなりました。
厳重な警戒が必要なこの記録的な大雨は、11日から九州を中心に西日本の広い範囲で断続的に降り続けています。
福岡県と熊本県では、12日午前11時ごろから発達した雨雲が連なり、午後2時ごろにかけて「線状降水帯」が発生しました。
その時間帯、記録的な大雨に見舞われていた熊本県内。
熊本市では歩道が冠水し、アンダーパスには大量の雨水が流れ込んでいました。八代市では、去年氾濫した球磨川が増水。南関町では、町を流れる川が氾濫しました。近くの老人ホームでは…
「避難を考えて車を準備していたら、バーッと水が入ってきたので、避難あきらめて2階に。川の近くは、どのタイミングで避難するかがすごく難しい。まだ大丈夫だろうと思ったら、ものの5分かからず水が入ってくる」
県内では、山鹿市や益城町で24時間雨量が8月としての観測史上1位を記録しています。(24時間雨量 山鹿市鹿北:258ミリ 益城町:189ミリ)
記者(熊本・和水町 12日午後)
「和水町です。私のそばを流れているこちらの川、かなり速いスピードで濁った水が流れています。そして、となりにある田んぼや畑との境が分からない状態です」
和水町では午後1時40分に、菊池市には午後2時45分に大雨警戒レベル5の「緊急安全確保」が出されました。
九州各地で断続的に降る大雨。
6時間雨量が観測史上1位を記録した大分県中津市では、道路が大規模に冠水しました。(6時間雨量:119.5ミリ)
大分市では1時間に53.5ミリの非常に激しい雨を記録しました。
大分・九重町でもバケツをひっくり返したような雨が降り、町を流れる川は増水。午後2時すぎには土砂崩れも発生。巻き込まれた車やケガ人はいなかったということです。
午後2時20分には松木川が氾濫危険水位に達したため、およそ1900世帯に「緊急安全確保」が出されました。
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西日本の広い範囲で降り続き、線状降水帯も発生した「災害級の大雨」。実は…
気象予報士 木原実
「2014年にも同じような形で前線が停滞して、記録的な豪雨になったことがあります」
2014年8月。本州の広い範囲で記録的な大雨が降り続き、広島市では大規模な土石流も発生。77人が亡くなりました。この被害をもたらしたのも線状降水帯です。
当時の天気図と13日午前9時の予想天気図を比べると、両方とも列島を横断するように、前線が似たような形で停滞していることが分かります。
気象予報士 木原実
「前線が動かないということは、前線に沿うように次々と雨雲が流れ込んでくる。線状降水帯の位置が変わらない、同じ位置にとどまるという非常に危険なパターンになりそうなんです」
すでに熊本県では、8月1か月に降る雨量を1日で超している地域もあります。
九州の多くの自治体では大雨警戒レベル4の避難指示が出されています。
13日以降も九州では大雨が続き、さらに列島の広い範囲でも断続的に激しい雨が降るおそれがあります。河川の氾濫や土砂災害などに厳重な警戒が必要で、「命を守る行動」が求められています。