全診療科でコロナ対応 大学病院の取り組み
新型コロナウイルスの感染者の増加による病床のひっ迫は収まりつつありますが、現場の闘いが続く中、病院全体でコロナの治療にあたる新たな取り組みと、その混合チームを束ねる医師を取材しました。
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長期の新型コロナ対応を見据え、新たな体制を組んだ病院もあります。80のコロナ病床がある東京・八王子市の大学病院、東京医科大学八王子医療センターです。
新型コロナ治療を統括 笹尾怜子医師
「全身の状態がよくて酸素もよければ、内服に切り替えてもらって退院でも大丈夫です」
治療の指揮をとっているのが、笹尾怜子医師です。
この病院では、特定のスタッフに負担が集中するのを防ぐため、8月から全ての診療科の医師が当番制で新型コロナ患者を担当。
笹尾医師はその統括を行いつつ、患者の治療方針を決める“コンシェルジュ”です。
14日の当番は糖尿病・内分泌・代謝内科の医師。笹尾医師が患者の今後について指示を出します。
笹尾怜子医師
「あとはリハビリですかね、お熱もないし、日数もたっているので」
連携は、コロナ患者のリハビリでも行われています。
理学療法士
「手あげて、吸って、吐いて」
入院中に筋力が落ち、歩けなくなる患者もいることから、直接指導を行い、日常生活に戻るためのサポートをします。
こうした治療の統括にくわえ、コロナ患者の入院調整も笹尾医師の役割の一つです。
笹尾怜子医師
「お母さんが陽性ってこと?入院になるってことですね」
搬送されてきたのは、重い肺炎の40代のシングルマザー。
笹尾怜子医師
「お子さんはお預かりになってるのかしら」
女性
「今、まだ自宅にいます」
家に残されたこどもたちが気がかりな笹尾医師。こどもの感染が判明した場合は、母親と同じ病室に受け入れることになりました。
患者に必要な治療を届けるため、連携を強化するこの病院。
院内にとどまらず、他の病院に出向いて、コロナ対応のノウハウを伝えることもあります。
市内の病院
「(布の)パーティションを大量に購入して、設置してるんですが、必要ですか」
東京医科大学八王子医療センター
「感染対策上、拭けない素材のものは全部ダメです」
また、平日は毎日、八王子市や市内の病院とweb会議を行い、病床の状況などを共有しています。
笹尾怜子医師
「いつでも相談し合えるような関係ができているので、すごく助かっています」
現在、病床のひっ迫は解消されつつありますが、連携を強化しながら長期戦は続きます。