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妊婦のコロナワクチン副反応 学会が調査

2021年10月7日 21:15
妊婦のコロナワクチン副反応 学会が調査

日本産科婦人科学会と日本産婦人科感染症学会は、5日から、妊婦の新型コロナウイルスワクチン接種に関するアンケートをアプリBabyプラスを使ってスタートしました。

日本産科婦人科学会は、8月14日、妊婦の新型コロナワクチン接種について、

1.時期を問わずワクチンを接種することをお勧めします。
2.妊婦の夫またはパートナーの方は、ワクチンを接種することをお願いします。

と声明を出しています。

アンケートは2つの学会の共同研究で行われ、妊婦のワクチン接種に対する期待や不安、さらにワクチン接種後の発熱などの副反応に加えて、お腹の張りや出血などの産婦人科的な症状があったかどうかについても調査します。

また、ワクチンの効果や副反応に関する情報が十分得られたかや、副反応があった場合、かかりつけの産婦人科医に相談するなど、どのように対応したか?についても聞いています。

目的等について、研究を行う日本大学医学部病態病理学系微生物学分野・相澤志保子准教授に聞きました。

――調査の目的は?

新型コロナワクチンに関する副反応などの追跡調査はすでに行われていますが、国内で、妊婦さんに特化したワクチンに関する調査データをとりたいと考えました。

調査内容は第一に、妊婦さんのワクチンに対する意識調査です。ワクチンに不安を持っているのか、期待を持っているのか。ワクチンを打つということに積極的な方もいれば、避けたいと考えている方もいます。皆さんがどう思っているのか、データをとりたいと考えています。

第二に、ワクチンを接種した妊婦さんには、副反応の出方などを調べたいと考えています。

※厚生労働省によると、米国では14万人以上の妊婦が新型コロナワクチンを接種(2021年8月6日時点)。

妊娠中にmRNAワクチン接種をした約3万5千人の追跡研究の報告では、発熱や倦怠感などの副反応の頻度は妊娠していない女性と同程度。また、接種後に妊娠した87人での流産、早産、胎児の発育不全、先天奇形、新生児死亡の発生率は、ワクチンを接種していない妊婦と変わらないと報告されています。

――妊婦の副反応については、すでに米国のCDCなどの調査があるが、国内で調査する意義は?

特にワクチン接種に関する意識調査は、国民性や居住地によっても変わってくると思うので、データをとる必要があります。

――臨床に出ていて、妊婦さんのワクチン接種後の副反応は?

妊娠しているから特に熱が出やすいとか、痛みが強いとかは、これまでの診療では感じていません。

――妊婦のワクチン接種に関する意識は変化している?

5月、6月は、新しいワクチンのため、妊婦さんの接種に対する不安は強かった気がします。でも、第5波のコロナ禍となった8月、千葉県で感染した妊婦さんが、入院調整中に自宅で出産し、新生児が死亡するというニュースがありました。

私も臨床に出ていて、このニュースの報道がされた後、医療施設の逼迫に対する不安もあり、妊婦さんのワクチンに対する意識がかわったと感じました。

――調査結果はどう生かされる?

新型コロナワクチンの接種率が上がってきて、3回目の接種も検討されていますし、さらにほかのワクチン接種についても、データはいかしていけると思います。

調査は11月30日まで日本産科婦人科学会が監修するアプリBabyプラスで行われます。たくさんの方にご協力いただければと思います。


相澤志保子准教授
2002年日本大学医学部卒業、日本大学医学部病態病理学系微生物学分野助手・助教を経て2014年より現職。専門は生殖免疫学、感染免疫学

■画像提供:ハーゼスト