同性婚訴訟「日陰の存在、納得できない」
同性同士での結婚を認めないのは、憲法に違反するなどとして、複数の同性カップルが、国を訴えている裁判で、原告7人が「同性婚の法制化」について訴えました。
東京地裁で11日に行われた裁判では同性カップルを含む7人の原告の本人尋問が行われました。裁判の「証拠」として認められる本人尋問は、原告が自らの言葉で裁判長に主張を訴えることができます。
50代の会社員の女性は、18年間ともに暮らしてきた「家族」の日々について証言しました。
■子供の作文に「この人は誰」
女性には「家族」がいます。2つ年下の同性パートナーと、それぞれが産んだ子供3人。2005年ごろから5人で一緒に暮らし始めました。「家族」として暮らす一方、長男が小学生だった時には、周囲の偏見をおそれてパートナーとの関係を学校に明かせずにいました。
そんなある日、長男の作文に書かれたパートナーの名前を教師が丸で囲み「この人は誰」と指摘。長男はそれ以降、家の外でパートナーについて話さなくなりました。
■日陰の存在「納得できない」
5年前、女性は乳がんを患いました。病院でパートナーが「家族」として認められるのか、自分が死んだら子供たちはどうなるのか、闘病中も不安は尽きませんでした。
「異性なら結婚が認められるのに同性を好きになると日陰の存在のように扱われるのは納得できない」
証言の最後、女性は裁判長に訴えました。
「パートナーはこれまでも、これからも、いつもかけがえのない存在。結婚が認められたらお隣と同じ、普通の市民になれる」
■判断下す時「背中を押す」
弁護団の寺原真希子弁護士は、今回の本人尋問について「証拠の中でも価値が高い。書面では伝わらない思いの強さが伝わった。裁判官が判断を下す時に背中を押す要素になる」と話しました。
同性婚をめぐる集団訴訟は、東京や大阪など全国5か所の地裁と高裁で行われています。