成田空港の滑走路がカメで閉鎖 多数繁殖
今年9月、成田空港の滑走路でカメが歩いているのが見つかり、滑走路が閉鎖される事態となりました。その後、滑走路の近くの池を調べると、外来種とみられるカメが多数繁殖していることが分かりました。
◇
日本の空の玄関口、成田空港。特別に許可を得て、制限区域へと向かいました。
到着したのは、滑走路の近くにある調整池です。空港内に降った雨水を川に流す時に水量を調整する役割があるといいます。
よく観察してみると――
記者
「池の奥の方にカメがいますね。甲羅干しをしているんでしょうか」
そこには、数匹のカメがいました。成田国際空港によりますと、外来種のアカミミガメ、通称ミドリガメだとみられています。
滑走路の近くで繁殖したことにより、困ったことが起きました。
日本航空・副操縦士ら
「カメですね」
今年9月、調整池から出てきたとみられるカメが、滑走路に進入したのです。発見した日本航空の副操縦士が管制官に報告すると、管制官は「カ、カメですか?」と戸惑いを隠せませんでした。
1匹のカメによって、滑走路がおよそ12分間、閉鎖される事態となったのです。
成田国際空港 滑走路保全部・白井聡マネージャー
「詳細には言及出来ないが、エンジントラブルなどの危険性がある」
大きな事故にも繋がりかねないというカメの進入。成田国際空港によりますと、空港内でカメが見つかるケースは、今年度で4件あるといいます。
ただ、池があるのは一般人は入れない制限区域のため、すみついた経緯などは分からないということです。
成田国際空港 滑走路滑走路保全部・白井聡マネージャー
「運航に影響が出ないように専門家等に意見を聞きながら、有効な対策を講じたい」
◇
1950年代にペットとして持ち込まれ、全国でおよそ110万世帯、180万匹飼われているアカミミガメ。
カメの専門店では。
かめんちゅshop2号店・佐藤公定店主
「よく知らずに飼い始めて結構速いスピードで成長するので、ああこれは無理だと思って手放す方が多い」
成長が早く、30年以上生きるというアカミミガメ。飼いきれなくなる人も多いため、かめんちゅshop2号店では、引き取りが行われています。
かめんちゅshop2号店・佐藤公定店主
「飼い始める際に、飼い切れなくなった場合、どなたにひきつないでいくかあらかじめ決めておくことが大事」
◇
対策へと乗り出す自治体もありました。兵庫県神戸市では、アカミミガメの捕獲数に合わせて、最大5万円の助成金を交付しています。
神戸市環境局環境都市課 自然環境担当・岡田篤課長
「外来生物が生態系なり、農業、人体にも非常に大きな影響を及ぼすことを知っていただきたい」
今年度はすでに、10団体によって203匹が捕獲されているということです。
兵庫県のススキの名所では、別の“厄介な動物”によって景色が一変していました。
上山高原エコミュージアム・山本一幸理事
「両サイドは背丈以上のススキが茂っていて、青空と両サイドのススキっていう夢のような道になっていたんですけど」
3年前は歩道の両脇にあったススキが今は3分の1程度にまで減ってしまったといいます。
その原因とみられるのが、野生のシカの食害です。
上山高原エコミュージアム・山本一幸理事
「けっこうこの辺り、葉っぱの先がないでしょ。シカが前歯でかじって食べたんだと思う」
春から夏にかけて、シカがススキを食べてしまったというのです。シカの生息数は、兵庫県内で推定されるだけでも12万頭以上。
上山高原エコミュージアム・山本一幸理事
「やはり元々は、シカも食べやすいものから食べていくんですけど、すみれの仲間とか、それが1年2年経過することによってほとんど食べつくされてしまって、結局ススキしか食べるものがないからススキを食べようかと」
年々増加する個体数に駆除も追いつかないということです。