国内初 「胎児治療」で心臓病手術に成功
重い病気の赤ちゃんをお母さんのおなかの中で治療する、「胎児治療」が国内で初めて行われました。今後の治療法として期待されています。
ことし7月。国立成育医療研究センターで妊娠25週の赤ちゃんの心臓を、お母さんのおなかの中で治療する初めての臨床試験が行われました。
赤ちゃんは「重症大動脈弁狭窄症」という、全身に血液を送る左心室の出口が非常に狭くなる病気でした。重症の場合、生まれた直後から心不全を起こし命の危険があるといいます。
国立成育医療研究センター・左合治彦副院長
「先天性心疾患に対する、今まで外科的治療というのはなかったので、心臓に対してのこういった胎児治療ができたっていうのは、非常に大きな一歩だと思っています」
この治療には、熟練の技術が必要です。
国立成育医療研究センター・左合治彦副院長
「本当にピンポイントで心臓の周りの血管を傷害したりして、突然心臓が止まったりもするので、狭い範囲の本当にどんぴしゃなところに、きちっと針を入れてやらないとなかなかできない手術であります」
赤ちゃんに麻酔をかけ、超音波で位置を確認し、おなかの外から、赤ちゃんの心臓に細い針を通します。狭くなっている大動脈弁にバルーンという風船をあてて広げます。治療することで、正常に近い心臓の発育を促すことができ、生まれた後の治療も容易になります。赤ちゃんは無事に生まれ、経過も良好だということです。
国立成育医療研究センター・左合治彦副院長
「『治療ができない』と希望の光が見いだせない方もいっぱいいらっしゃるんですが、少しずつですが医療は進歩してですね、少しでもこのこと(臨床試験)が、希望がもてるようなことになれば、つながっていけばいいなと思っております」
海外では、他の病気でも行われていて、治療を行った左合副院長は「安全性と有効性を確かめて治療法として確立したい」としています。