建設現場で余った木材を有効活用 “残材BANK”とは
木材の高騰でウッドショックといわれる事態になっている中、建設現場では、以前から問題になっていることがありました。それは、住宅建築などで寸法に合わせてカットして不要になった木材や、余ってしまった資材の廃棄です。こうした木材を有効活用できないかと始まった「残材BANK」という取り組みを取材しました。
三重県松阪市にある建設会社、中美建設。こちらで取り組んでいるのが…
株式会社中美建設 中村淳二代表取締役
「現場で出た残材をお客様に提供する、残材BANKという取り組みを行っております」
中村さんによると、建設の現場では木材を余らせる事も多く、そのほとんどを廃棄しているといいます。こうした理由から中村さんは、余った木材を残材バンクとして無償で提供しているのです。
残材BANKを始めたきっかけは、新型コロナウイルスの流行にありました。新築の住宅や家をリフォームするなど、アメリカで住宅需要が高まり、世界的に木材が高騰したのです。さらに、おうち時間が長引き、DIYをする人も増えたことで木材の需要は高まったため、去年1月から残材BANKを始めました。残材の引き渡しは不定期なため、SNSで情報を発信しています。
廃棄を減らすために、残材バンクをしている企業は全国的に広がっています。その大きな理由とは…
株式会社中美建設 中村淳二代表取締役
「私どものコストを下げることにもつながるので、より良い取り組みだと思っています」
年間60棟ほどの注文住宅を施工するという中村さんの会社。以前は、年間150~200立法メートルの木材を廃棄していたときもあったそうです。その費用は約100万円にのぼることも。天井や床などに使う木材は規定のサイズでメーカーから購入したあと、それぞれの住宅に合わせてカットする必要があるため、端材をゼロにすることは難しい状況だといいます。
株式会社中美建設 中村淳二代表取締役
「やはり強度を保とうと思うと一枚の木材で施工する。その残りのものをまた継いで使うというわけにはいかない。どうしても処分するしかない」
提供している木材は、元々、廃棄する端材だったため、2センチほどの小さな木材から1メートル以上の大きな木材まで様々。また、中村さんは地産地消を目指しているため、三重県産の木材も提供しています。
株式会社中美建設 中村淳二代表取締役
「長距離配送をするとなるとガソリンなどでも地球環境にも影響すると思いますし、三重県の山自体の林業の活発化にも起因すると思い、三重県産の木を使っています」
様々な木材について知るきっかけにもなる残材BANK。ふだん木材に触れることが少ない人たちにも、木の良さを感じてもらいたいと、中村さんは話しています。