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こどもの日「バレエダンサーになりたい」夢の一歩を応援する舞台 さいたま市で上演

2022年5月5日 11:18
こどもの日「バレエダンサーになりたい」夢の一歩を応援する舞台 さいたま市で上演
谷桃子バレエ団「眠れる森の美女」

4日、さいたま市で行われたプロのバレエ団の公演に、一般公募に応募し、オーディションで選ばれた子役28人が出演しました。主役の子ども時代の役に選ばれたのは、10歳の少女2人。プロのバレエダンサーを目指す彼女らにとって夢の舞台の幕が上がりました。

「ドリームプロジェクト」として、4日、公演が行われたのは、創立70周年を超える名門バレエ団「谷桃子バレエ団」の「眠れる森の美女」です。バレエ「眠れる森の美女」は、魔女・カラボスの呪いにより100年の眠りについたオーロラ姫を王子が救い、呪いがとける物語。リラの精などの妖精が登場し、物語を締めくくるオーロラ姫と王子の結婚式には、シンデレラや赤ずきん、青い鳥など、おとぎ話の主人公たちがお祝いにかけつけます。

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4日と5日の2日間にわたり、3公演が上演。また、こどもの日にちなみ、舞台に立つ子役をバレエ団では初めて一般公募で募集されました。プロの舞台にダンサーと一緒に立つことが出来る子どもたちにとっては「夢の舞台」です。オーディションで選ばれた28人がその舞台に立ちました。

夢の舞台なった劇場がある埼玉県とさいたま市などが後援となりました。その理由について、「新型コロナの影響で、大型連休中に劇場に空きがあったことや、修学旅行などの行事が相次いで中止となっていることから、子どもたちへ夢をあたえられるものになればよいなと思った」と話しています。

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オーディションが行われたのは、2月下旬。本番で踊る振り付けの一部を、子どもたちはその場で覚え、審査員に向け披露しました。審査の結果、主役・オーロラ姫の子役時代と花のワルツの女児に出演が決まったのは、木幡穂莉さんと西川桜さん、10歳です。木幡さんは、地元・埼玉県の出身。

木幡さん
「やりたい役だったので、とても嬉しかったです」

これらの役柄のポイントや難易度について、芸術監督・高部尚子さんに聞きました。

高部さん
「花のワルツの踊りの内容は大人とほぼ同じですので、この年代の女児としてはかなりの水準が必要となります。トゥシューズを履いてしっかりと踊る人が選ばれました。爪先の美しさなどが求められます。また、どれだけ上体を動かしても崩れない下半身の強さが必要です。オーロラ姫の子役は、短いシーンですが、演技力が問われます」

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谷桃子バレエ団の特徴は、「ドラマチックバレエ」ともいわれる物語性。ダンサーは、踊り手でありながら、役者でもあるのです。これは、バレエ団の創設者・谷桃子さんが、大切にしてきたこと。バレエはせりふがないため、「マイム」という動きでストーリーを表現します。オーロラ姫の子役も、針に刺され全身に毒が回っていく様を全身で表現し、演じる必要があります。

高部さん
「子供たちにも踊りの中で、喜びや、華やかさをどう表現するのか、笑顔一つとってもお客様にどのように響くのか、伝わるのか、どう捉えて頂けるのかを、本人がただ楽しく踊るのではなく、『人に届く表現を自分が理解して踊る』という事を学んで頂けたらと考えています」

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子役の練習が始まったのは、本番まで2か月をきった3月中旬。毎週日曜日に都内のバレエスタジオで練習が重ねられました。

今回、子役の指導にあたったのは、プリンシパル(最高位のダンサー)・佐藤麻利香さん。数々の舞台の主役を務め、長年バレエ団のトップを走り続けてきましたが、今年1月の新春公演「ジゼル」を最後に全幕(ストーリー性のあるバレエの演目を抜粋せず全てを上演すること)からの引退を発表しました。

佐藤さん
「指導など色々なことに挑戦していきたいと思っています。全幕からの引退発表は、次のステージに進むための宣言でした。大きな舞台の子役の指導係は初めてです」

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東京近郊のバレエ教室から集まった子役たち。最初は緊張していたものの、練習を重ねるうちに仲良しに。本番10日前、指導にあたった佐藤さんは「みんなとても仲良くなって、お互いに教え合ったりしているので、とても良くなってきました。舞台が楽しみです」と期待を寄せていました。

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本番当日。木幡さんは「緊張する」と話していましたが、西川さんと励ましあい、笑顔が多く見られました。舞台袖では、出番のギリギリまで西川さんと一緒に演技の部分を練習。

緊張からか、少し落ち着かない様子も見られましたが、幕が上がると堂々と演じきりました。

木幡さん
「お客さんが多かったので、『私はこんなにすごい舞台に立てたんだな』と思いました。プロのダンサーと一緒に舞台に立てて、楽しかったです」

高部さん
「緊張が感じられないくらい堂々としていて良かったと思います。本番が一番良かった。100点満点あげたいです。本当によくやってくれたと思います。しかし、ここで終わりではないので、反省をしながら次の舞台に向かっていくのがダンサーの常なので。子どもたちも良かったところと悪かったところが分かる年齢だと思うので、今日のことを糧に、この先、苦難もあるでしょうけど、頑張ってもらいたいなと思います。」

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「将来はプロのバレエダンサーになりたい」と夢を語ってくれた木幡さん。約2か月間の頑張りを近くで見守ってきた指導者・佐藤さんは「バレエは躍る心がないと、どれだけ技術があっても魅せることは出来ないと思うので、それをなくさずに頑張って欲しい」とエールを送りました。