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池一面を覆う“赤い侵略者” 異常な“繁殖力”の水草「アゾラ」 生態系に影響も…  広島

2022年11月29日 22:08
池一面を覆う“赤い侵略者” 異常な“繁殖力”の水草「アゾラ」 生態系に影響も…  広島

広島で池が真っ赤に染まる現象が起きています。原因は水草で、生態系を脅かす事態となっています。

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記者
「池が真っ赤になっています」

目の前に異様な光景が広がっていました。

記者
「一面、赤い物で覆われています」

水面を侵略するかのように覆い尽くす“真っ赤”なもの。網ですくってみると、採れたのは細かく赤い粒のようなもの。その正体は…

三次河川国道事務所・灰塚ダム管理支所 小松芳彦管理支所長
「水草ですね。アゾラという種になります」

「アゾラ」という水草です。1つ1つの葉は小さく、隙間なく浮かんでいます。

“普通ではない”この現象は、広島県三次市の灰塚ダム上流にある、東京ドーム約15個が入る広さの人工湿地「知和ウェットランド」で発生していました。数多くの動植物が生息する場所です。

三次河川国道事務所・灰塚ダム管理支所 小松芳彦管理支所長
「このまま置いておくと、生態系にもよろしくないので」

アゾラは水面を覆うように広がるため、水中に光が届きにくくなり、もともと池に住んでいるメダカなどの動植物に悪影響を与えるというのです。さらにやっかいなポイントが、異常な繁殖力です。

三次河川国道事務所・灰塚ダム管理支所 小松芳彦管理支所長
「繁殖力が非常に強くて」

特に今年は苦労したといいます。

この湿地では、9月上旬にアゾラが大発生。そのため、9月中旬から1か月ほどかけて、重機なども使い約11トンものアゾラを池から回収しました。可能な限り取り尽くしたといいますが、今月上旬にはアゾラが復活。再び繁殖し、水面を覆ったのです。

三次河川国道事務所・灰塚ダム管理支所 小松芳彦管理支所長
「そんなまさかと思いましたね。去年は一度取ったら次の繁殖はなかったです」

しぶとい“真っ赤な侵略者”。アゾラを20年研究する専門家は、その生命力の強さを指摘します。

兵庫県立大学 鈴木武講師
「小さな断片からでも増えられる植物なので、完全除去は難しいと思いますので。夏場で条件がいいと1週間で約100倍に増えるという報告もあります。量が少しのうちに取り除くしかないんですけど、(湿地が)広大なので気づくのが遅くなってしまって、気がついたらこういう事態が今回起きたのでは」

また、冬の寒さでもゆっくり成長することがあるともいいます。

湿地では、対策としてダム湖へとつながる川にフェンスを設置していて、今後さらに繁殖すれば、回収を再度実施する予定だということです。

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