【解説】 刑法犯20年ぶり増加…「日本の治安」悪くなった? 狙われる「電動自転車バッテリー」
一連の強盗事件が世間を震撼(しんかん)させる中、生活に身近な街中の犯罪が増加しています。
●20年ぶりの増加
●なぜ街中で
●狙われるのは
以上の3つのポイントについて、詳しく解説します。
■「街頭犯罪」増加 原因は「外出制限の緩和」?
警察庁は2日、2022年の犯罪情勢(暫定値)を発表しました。警察庁は2022年10月、全国15歳以上の男女5000人を対象にアンケートを行いました。
「この10年で日本の治安は良くなったと思うか、悪くなったと思うか?」との問いに対して、全体の67.1%が「悪くなった」、または「どちらかといえば悪くなった」と答えました。同じ年の7月に発生した「安倍元首相銃撃」の影響も背景にあるとみられています。
「刑法犯の認知件数」の推移は、2002年の約285万件をピークにずっと減少し、2021年は戦後最少となる約57万件でした。ところが、2022年は60万1389件で、前年比で20年ぶりに増加に転じたということです。
他にもいろいろな種類の犯罪が増加しています。「特殊詐欺」(1万7520件)、「強制性交等」(1656件)などは、2年連続で増加しました。さらに「児童虐待」は、過去最多の11万5730人でした。(疑い含む通告数)
また「ランサムウエア」と呼ばれる不正プログラムによるサイバー事案は230件で、前年比57.5%増加しました。テレワークにも使われる機器などの脆弱(ぜいじゃく)性が狙われたケースが大半だということです。
いろいろな犯罪が軒並み増加する中、大きな割合を占めているのが「街頭犯罪」、いわゆる街中での犯罪です。総数60万件のうちの約20万件を占め、前年比14.4%増加しました。街中では特に傷害・暴行・自転車の窃盗など、生活に身近なところの犯罪が増加しています。
警察庁は、新型コロナウイルスによる外出制限などが緩和されたことが、背景の1つにあるとみています。街中に人出が戻ってきたことで、犯罪も増えたのではないかとしています。
■自転車の窃盗 狙われる中高層住宅
警視庁によると、2021年に都内で発生した自転車の窃盗は1万9358件でした。では、その「自転車の盗難」で多い場所は、どちらでしょうか?
1.道路上
2.住宅
――正解は「住宅」です。実は半分ほどが、住宅で盗まれているということです。
住宅の種類で一番多いのは、「中高層住宅」(4階建て以上・24.8%)でした。それよりも低い「一戸建て住宅」(9.2%)、「その他の住宅」(15.6%)の敷地内でも発生しているということです。「道路上」は21.6%でした。
しかも、「鍵をかけていたかどうか」でいうと、かけていない人が半数以上に及びました。やはり「住宅・敷地の中だから大丈夫かな」という気の緩みがあるのかもしれません。
■「電動自転車バッテリー」盗難増加
さらに電動アシスト自転車のバッテリー盗難が、最近増えているということです。2021年、警視庁が都内で認知した件数は314件と急増しました。
バッテリーが盗まれたら、ただの重い自転車になってしまいますよね。しかも新品バッテリーの相場は3万円~6万円ということで、持って行かれたら痛いですね。
しかも、バッテリーは自転車の鍵で取り外せるようになっている物が多いため、バッテリーの盗難も「鍵を付けっ放し」にした状態で被害にあうケースが多いそうです。例えば一戸建て住宅のケースでは、施錠していて盗まれた」という31件に比べ、「鍵の付けっ放し」で盗難された方がダントツに多く、177件でした。
自転車やバッテリーが盗まれないようにするには、どうしたらいいのでしょうか。警視庁は、次のように呼びかけています。
●「わずかな時間でも!」
わずかな時間でも、自転車から離れる時は鍵をする
●「住宅の敷地内も!」
住宅の敷地内でも、必ず鍵をする
●「駐輪場も!」
さらに、常設のキーの他に、防犯性が高い補助錠を使います。種類の違う2つの鍵を組み合わせれば、防犯力がアップするためです。
また「自転車を駐輪場などの構造物にくくりつけること」も有効です。これを実は「地球ロック」と呼ぶそうです。ただし、路上に止めて、金網などに「地球ロック」するのはNGということです。
そしてバッテリーにも常設の鍵だけではなく、「二重ロック」するのがおすすめです。バッテリーは帰宅後、できる限り屋内で保管するのがいいそうです。
犯罪は、意外と身近なところに潜んでいます。鍵をかけるなど、ちょっとした行為を面倒くさがらずにやることで犯罪にあう確率を少しでも減らす「自己防衛」が重要です。
(2023年2月2日午後4時半ごろ放送 news every. 「知りたいッ!」より)