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古い橋を壊さずに内部の劣化を調べる事業がスタート

2023年5月20日 3:56
古い橋を壊さずに内部の劣化を調べる事業がスタート

古い橋の内部に塩分が染みこんで劣化することが問題になっていますが、外からでは劣化の程度がわからず、急に橋などが崩落する恐れも指摘されています。こうした中、内部の劣化を調べる新たな装置が開発され、その装置で検査を行う会社が設立されました。

理化学研究所などが開発した新技術を実用化するため、理研鼎業やオリエンタル白石などが4月に設立したのは、株式会社ランズビューです。

ランズビューによりますと、日本の橋(高速道路含む)のおよそ34%は建設後50年以上経過していて、潮風や冬場の凍結防止剤としてまかれた塩分が、割れ目などから中に入り込んで起きる「塩害」が主な劣化原因の一つだということです。

「塩害」による劣化の程度は、外からはわからず、急に橋が崩落する恐れがあるということで、内部の劣化を早めに把握し、補修すれば崩落予防ができるとして、内部の塩分濃度を調べる技術が求められていました。

理化学研究所などの研究チームは、中性子を当てることで、橋内部の塩分濃度を測る技術を世界で初めて開発。従来の検査のように橋や道路を壊したり、削ったりせずに「非破壊」で検査でき、その場で結果が出るのが特徴だということです。

この技術を利用した検査装置は、当初かなり大きいものでしたが、車両に搭載できるサイズにまで小型化することに成功し、今回、様々な企業とも協力して、新たな会社を作り、実際に橋の内部を検査する事業などを始めると発表しました。

最初の2、3年は、橋などに、この装置を持って行く検査を受注するということです。その後は、全国4000から5000か所の橋を予防的に検査する形を目指して、装置のレンタルも始め、将来的には装置を販売し、検査を行う会社を増やしたいということです。検査の価格は従来の方法と同じ程度に設定し、将来的にはコストダウンを考えていると説明しました。

ランズビューの高村正人社長は、「インフラ構造物老朽化の危機に対して、何とか技術で解決したいという強い想いと、中性子線を活用すればどこかに解があるのではないかという粘り強い探求心が結実し、このたび大きな節目を迎えることができた」とコメントを発表。

この技術を開発した理化学研究所などの研究チームを率いる大竹淑恵チームリーダーは、「産学連携、特に、インフラ現場を様々な角度から知り尽くしている技術研究組合の企業の大きな働きによって(実用化が)実現した。日本、世界のインフラの安心安全の実現につながるように努力を重ねていきたい」と述べました。