若い世代を中心に“熱いお湯”好む人「減少」 世代で好み分かれる「センサーがだんだん鈍く…」
若い世代を中心に、熱いお風呂に入る人が減っていることがわかりました。世代で温度の好みが分かれている背景について、入浴と健康の関係に詳しい専門家が指摘するのは、“皮膚のセンサーの感度”です。
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今年も残すところ、あと1か月。気温の冷え込みが本格化し、温泉が恋しい季節がやってくる中、“若者の街”東京・原宿で「お風呂の設定温度」について聞いてみました。
20代
「入る時は30分以上とか入っちゃうので、38℃くらいの方が好きですね」
20代
「38℃です。あんまり熱いのが得意じゃないので、38℃が限界かなって」
一方、“おばあちゃんの原宿”東京・巣鴨でも聞いてみました。
70代
「45℃くらい。頭からびっしょり汗が出るくらいでね」
70代
「設定は42℃にしています。江戸っ子ですから、気は短いというか、熱いの我慢して入るのは好きですね」
“42℃以上の熱いお風呂が好み”という声が聞かれました。
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給湯機器などの大手メーカー「リンナイ」が実施する、全国の男女へ「お風呂の設定温度」を聞いた調査では、温度を「42℃以上」と熱めに設定している人は2016年に41.2%いましたが、11月30日に発表された今年の調査では、32.1%まで減っていたのです。
また、今年の調査を世代別に見てみると、39℃以下のぬるま湯に設定している人は、20代の方が60代より2倍多かったということです(リンナイ調べ 「39℃以下」に設定…20代は19.6%、60代は9.8%)。
世代で温度の好みが分かれている背景について、入浴と健康の関係に詳しい専門家に聞きました。
東京都市大学 人間科学部学部長・早坂信哉教授
「高齢者になってきますと、温度を感じる皮膚のセンサーがだんだん鈍くなってきます。つまり、“ぬるいお湯だと満足しない”ということが挙げられるかと思います」
老化の影響で同じ温度のお湯に入ったとしても、若い人は熱く、高齢者はぬるく感じやすいということです。
また早坂教授は、“お風呂で疲れをとるために有効なのは、40℃のお湯に10分つかる全身浴”といった知識が広がったことも、低めの温度が好まれている理由の1つだと話します。
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熱いお湯を選ばない人が増える中、逆に「熱さを売り」にする温泉地もあります。福島市の飯坂温泉で、市長がアピールしていたのは、まるで大相撲の番付表のようなポスターです。
福島市 木幡浩市長
「これです! 『熱さ番付』といいまして、温泉の温度で(公衆浴場の)番付をしています」
「西の横綱 大門の湯 70.5℃」、「東の横綱 切湯 58.6℃」などお湯の熱さを前面に押し出しているのです(※表示はお湯口の温度のため湯船の温度とは異なる)。元々、熱いお湯が特徴の飯坂温泉。しかし、近年になると「熱すぎる」といったクレームが入ることもあったといいます。
福島市 木幡浩市長
「“熱さ”というのは、飯坂の個性であり、売りだと思うんですね。それを面白おかしく出していって、皆さんに納得してもらった上でご利用いただきたいなと思って」
“番付表”で最も温度が高いのは西の横綱「大門の湯」で、お湯口の温度は70℃を超えています。湯船には水を入れ温度を下げてはいますが、それでも48℃ほどあるといいます。20代の「news every.」番組スタッフが入ってみましたが、3分が限界でした。
大門の湯 三浦久美管理人
「ポスター(番付)を見ながら入ってきますけど、手だけ突っ込んで『帰ります』って言ってる方もいらっしゃいますね、やはり」
熱い温泉好きの観光客が増えた上、クレームも少なくなったということです。