去年の記録的な大雨への対応 ”過労死ライン”超えも
去年7月と9月の記録的な大雨の対応にあたった秋田市の職員のうち延べ62人の残業時間が1か月で100時間を超え、最大で180時間を超える職員もいたことがわかりました。心身に大きな負担がかかる、いわゆる過労死ラインの目安を超える水準で、市は事務作業に加え避難所の運営も長時間勤務につながったと説明しています。
秋田市内では去年7月と9月に、記録的な大雨による住宅などへの被害が相次ぎました。秋田市によりますとその去年7月から9月までの間、9つの部局の職員、延べ62人の時間外労働=残業時間が1か月で100時間を超えました。7月は28人、8月は25人と被害の発生直後から翌月にかけて残業時間が増えた職員が目立ち、9月は9人でした。
市は災害発生時には1か月で100時間を超える時間外労働を認める特例措置を設けていますが、これは心身に大きな負担がかかる、いわゆる「過労死ライン」の目安として国が示す残業時間の水準に達しています。
部局ごとの状況も明らかになっています。7月に100時間を超えたのは9つの部局であわせて28人です。避難情報の発表や安全確保の呼びかけなど、初動対応を行った防災安全対策課がある総務部が最も多く、12人です。次いで多かったのはり災証明書の発行や、住宅の被害状況をまとめる企画財政部で、7人です。災害ごみの処理の対応にあたった部署を含む環境部でも、3人の残業時間が1か月で100時間を超えました。
8月は職員25人が1か月で100時間を超える残業を行っていました。最も人数が多かったのは企画財政部で、18人です。被害状況の調査に加え、翌月=9月に控えた市議会に提出する補正予算案のとりまとめに関連する作業も行っていました。7月に残業時間を超える職員がすべての部局で最も多かった総務部は、8月は2人でした。ただ、2人のうち、防災安全対策課の職員1人は、1か月の残業時間が184時間に上っていました。
去年7月から9月に1か月で100時間を超える残業時間となった職員の数は、おととし=2022年の同じ時期を上回っています。おととしのこの時期は、新型コロナウイルスの対応にあたった保健所職員の業務量が増え、長時間の残業となった50人のうち48人が秋田市保健所の職員でした。
市は去年は大雨被害に伴う庁舎内での事務作業のほか、開設した避難所の運営に職員が長時間対応していたことも、残業時間が増えた要因だと説明しています。市は現在、大雨に伴う対応の検証を続けていて、災害発生時、特定の部局や職員に負担が集中しないような体制づくりを検討しています。