「火山噴火予知連絡会」が半世紀の歴史に幕 政府の火山調査研究推進本部に機能移行
専門家らが一堂に会して国内の活火山の評価を行ってきた気象庁の「火山噴火予知連絡会」が27日、半世紀の歴史に幕を閉じました。今後は、今年4月に発足した政府の火山調査研究推進本部に多くの機能が移行されます。
1974年に発足した気象庁長官の私的諮問機関「火山噴火予知連絡会」は、全国の火山専門家らが集まって情報を交換し、それぞれの火山の活動について評価してきました。
一方、予算などのうらづけがなく、国として調査・研究を進めるため、政府は今年4月に、文科省に「火山調査研究推進本部(火山本部)」を発足させ、その役割を移行していました。
こうしたなか、予知連絡会は27日、「役割は終了したと判断し、本日をもって終了する」と発表しました。
今後は、気象庁内に「火山情報アドバイザリー会議」を立ち上げ、噴火警戒レベルの引き上げや引き下げなどの際に専門家の助言を受けることにしています。
日本には111の活火山があり、世界有数の“火山大国”ですが、噴火予知は難しく、2014年におきた御嶽山の噴火では登山者ら58人が死亡しています。しかし、火山の噴火は地震に比べて頻度が少なく、専門家の人材不足や研究予算の減少などの課題が指摘されてきました。
予知連絡会の最後の会長を務めた九州大学の清水洋名誉教授は、27日の会見で「まだ社会が求める火山情報、予知情報に対して十分な答えがだせない状況にある」としたうえで、「課題はそのまま火山本部に引き継がれていく。社会の期待に応えるレベルでの予測、火山情報をだせるよう目指す」と話しました。