軽くて曲がる太陽電池? 次世代型「ペロブスカイト」の“夢と現実” 政府が目標策定「2040年に600万世帯分」…実現の可能性は
日本発の次世代太陽電池「ペロブスカイト」をめぐり、政府が初めて導入目標を取りまとめました。研究者からは「目指す価値のあるチャレンジングな目標」との声が上がります。様々な場所で効率的に発電できる希望がある一方で、目標達成には壁もあります。
「日本が生んだ技術が詰まっている次世代の太陽電池が、ペロブスカイト太陽電池です」
長濱ねるさん(俳優・『news zero』火曜パートナー)
「とても薄くて、私がイメージする太陽電池とは随分違いますね」
藤井キャスター
「政府は26日、この次世代電池について『2040年に20ギガワットを目指す』とする初めての目標を取りまとめました。これが実現すると約600万世帯分、日本の家庭の約1割分の電力が賄えるということです。この夢のある話、本当に実現するのでしょうか?」
小栗泉・日本テレビ解説委員長
「日本で開発されたペロブスカイトは世界的に開発競争が激しくなっていて、夢と現実が両方見える技術だと思います」
長濱さん
「軽いですね。楽々持ち上げられますね」
藤井キャスター
「ひらひらして、柔らかいですね」
小栗委員長
「ペロブスカイトは非常に薄くて軽く、曲げられるのが特徴です。これまで太陽電池が置けなかった様々な場所への設置が期待されています。例えば、これまでは住宅の太陽電池といえば屋根に設置するイメージだったと思いますが、垂直の壁にも置けます」
「さらには、住宅のベランダのガラスにペロブスカイトの太陽電池を埋め込んだ『発電するガラス』の製品の開発も進められています」
小栗委員長
「また、ペロブスカイトは非常に弱い光でも効率よく発電できるという特徴があるため、屋内の照明などの光でも発電します」
「そのため産業技術総合研究所の村上拓郎研究チーム長によると、リモコンなど電池で動くようなモノに付けることや、災害時に大きなパネルを用意してバッテリーの充電ステーションのように使うこともできるといいます」
藤井キャスター
「実現の可能性はどれぐらいなのでしょう?」
小栗委員長
「それが現実の部分です。開発を進める村上研究チーム長によると、そもそも20ギガワットというのは初夏の昼間、晴れていて条件が良い時に出せる最大瞬間の電力のことです。夜間は発電しませんし、雨の日などはどうしても落ちてしまいます」
「そのため、電力として見込めるのは最大発電量の1.5割程度で、これが約600万世帯にあたるということです」
「また実現にあたっての壁となるのが、耐久性とコストです。ペロブスカイトは劣化が早いという弱点があるため、長時間発電し続ける耐久性が重要な課題となります」
「さらに、これまでの太陽電池パネルと比べると現状では割高になるというコストも課題です。政府は目標の中で、2040年に従来のパネルとほぼ同じ水準まで下げることを目指しています」
「村上さんは『政府の目標は目指す価値のあるチャレンジングな内容。今の太陽電池が設置できない場所に導入して、建物の電力を賄えるくらいになるといいと思う』と希望を語っていました」
藤井キャスター
「長濱さんはSDGsに関わる仕事にも携わっています」
長濱さん
「仕事で、長崎県・五島列島の風力発電の現場に見に行ったことがあります。現場の方々は、『再生可能エネルギーはとてもコストがかかる』とおっしゃっていました」
「次世代の太陽電池は軽くていろいろな場所に設置できるのはとてもいいと思いますし、コスト面の改善など課題にも注目していきたいです」
藤井キャスター
「来年度には実用化の第一歩を踏み出すということです」
(11月26日『news zero』より)