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陸自ヘリ事故 機材トラブルで「飽和潜水」は中止に 「機体の引き揚げがスムーズにできるかどうか」今後の捜索は

2023年4月15日 1:42
陸自ヘリ事故 機材トラブルで「飽和潜水」は中止に 「機体の引き揚げがスムーズにできるかどうか」今後の捜索は

今月6日に沖縄・宮古島で消息を絶った陸上自衛隊のヘリコプターの搭乗員と機体とみられるものが13日、周辺の海の中で見つかりました。14日、「飽和潜水」が開始されましたが、機材にトラブルがあり中止されたといいます。今後の捜索について、専門家に聞きました。

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14日午後7時過ぎ、潜水艦救難艦「ちはや」はライトをともしながら、薄暗い海に浮かんでいました。夜になっても、行方不明者の捜索を続けていました。

沖縄・宮古島で陸上自衛隊のヘリコプターが消息を絶ってから1週間以上がたった13日、防衛省関係者によると、ついに機体とみられるものが海中で発見されたことが分かりました。そして14日は水中カメラが投入されるなど、捜索活動は朝から行われ、午後2時ごろには、ロボットカメラのようなものを船へと引き揚げる様子も見られました。

機体とみられるものが見つかったのは、ヘリがレーダーから消失した地点の近くである伊良部島の沖合です。これまで現場の周辺では、ヘルメットや折りたたまれたままの救命ボートなどが見つかっています。

ヘリに乗っていたのは第8師団のトップ、坂本雄一師団長をはじめとする10人で、依然、安否不明です。防衛省関係者によると、機体とみられるものとともに搭乗員の可能性がある3~4人の人の姿も確認されたということです。

捜索に協力していた漁師は「みんな回っていた(エリア)。よかったと思うよ、人がいるみたいだから。見つかってよかった」と話していました。

見つかった付近の水深は、約100メートルだといいます。そこで、14日午後から開始されたのが、通常では難しい深海での長時間の活動が可能となる「飽和潜水」です。

私たちは2001年、飽和潜水の訓練を取材していました。ダイバーは加圧室に入り、深海の高い水圧に押しつぶされないように数時間かけて体を慣らします。その後は、潜水服を着て同じように加圧された水中エレベーターで深海へ向かいました。

防衛省関係者によると、機材にトラブルがあり、14日の飽和潜水は中止になりました。飽和潜水に詳しい元海上自衛官の安倍淳氏は「飽和潜水は機材もしっかり整備してのぞんでいるはず。難易度が高い捜索方法なので、安全のため中止したのでは」と話しています。

防衛省は15日以降、改めて飽和潜水を実施する考えです。

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今後の捜索について、専門家に聞きました。

元陸自東部方面総監 磯部晃一さん
「機体の引き揚げがスムーズにできるかどうか、ここがポイント。機体本体の部分でどういった損傷が出ているのか、エンジンの部分に損傷があるのかないのか。最終的にはフライトレコーダーです。(フライトレコーダーに)ボイスが残っている。飛行高度・速度が記録に残ってるので、見れば上空で何か起こったのか、低く飛んでて何か起こったのか分かる」

――搭乗員の可能性ある3~4人を発見したということで、ここから分かることは?

元陸自東部方面総監 磯部晃一さん
「仮に搭乗している隊員がハーネスというベルトをしている場合、その状態で発見されるということであれば、本当に突発的な事態が想定されると思います。通常、最後に(ヘリが)確認されてる飛行高度くらいですと、ある程度降下するまでに時間がありますから、管制塔に通報したり、隊員に注意を促したりできる。今回、それが何も通報がないという状況なので…」

今後も24時間態勢の捜索が続きます。

(4月14日放送『news zero』より)