沖縄返還から50年 自衛隊配備が進む“国境の島” 中国の海洋進出で…
5月15日に日本に返還されてから50年の節目を迎える沖縄で今、自衛隊の配備が急ピッチで進んでいます。中国の海洋進出で安全保障環境が激変する中、国境の島では危機感が高まっています。
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沖縄県・石垣島を含む南西諸島はかつて、防衛の空白地帯といわれていました。しかし、海洋進出を進める中国を念頭に、石垣島では自衛隊の駐屯地の建設が進められているほか、宮古島や与那国島にも、2016年以降、部隊が配置されました。
反対の声もあがるなか、急ピッチで進められた防衛力の南西シフト。その南西諸島で、いち早く自衛隊の誘致を進めた自治体があります。日本で最も西にある国境の島、与那国島です。
与那国島は、沖縄本島から南西に約500キロに位置し、展望台からは年に数回、台湾が見える日があるそうです。
島で働く人
「天気がいいと台湾が見える」
島で働く人
「ここの先に、この先に」
島で働く人
「めっちゃ暮らしやすいですよ」
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天然記念物の馬が放牧されるなど、自然豊かな与那国島。主な産業はサトウキビの栽培や観光、それに漁業です。
与那国町が自衛隊の誘致に踏み切った理由の一つが人口の減少です。太平洋戦争が終わった直後の1950年には、町の人口は6000人を超えていましたが、本土復帰(1972年)する前から減少傾向となり、2015年にはついに1500人を割り込みました。
与那国町の自衛隊誘致には賛成と反対、双方の声があがり、住民投票が行われました。その結果は、誘致賛成が過半数となり、2016年に陸上自衛隊の部隊が配置されました。主な任務は、レーダーなどによる洋上の監視です。
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自衛隊を誘致したことで何が変わったのか。私たちは島で一番大きい与那国町立与那国小学校を訪ねました。この小学校には、自衛官の子供も通っています。
自衛隊誘致前の児童数は48人でしたが、誘致後には最大で82人まで増えたといいます。複数の学年が同じ教室で授業を受ける“複式学級”をやめて、学年ごとに授業を行うことができるようになりました。
与那国小学校 島袋篤校長
「県外から来ている(自衛官の)子どもたちと、島の子どもたちの間でトラブルが起きることはないです。保護者同士も協力的にやっているからだと思います」
町全体の人口も減少に歯止めがかかり、現在は約1700人です。
与那国町の糸数健一町長は、自衛隊の誘致を「メリットはあるけど、デメリットは全くないと思っているんですけどね」と評価しています。
一方で、本土復帰50年を経ても、安全保障の最前線であることに変わりありません。
農業を営む町民
「ウクライナの。気になってしょうがないですね。やっぱり怖いですよね。中国がそんな感じできたら怖いし」
与那国町の防災担当
「(住民は)シェルターの話を最近するようになっています」
町役場は、台湾有事への備えを始めています。
与那国町 糸数健一町長
「ウクライナみたいな状態になる前に、どうやって住民を避難させるんだということですよ」
広がりつつある不安が解消される日は、いつ訪れるのでしょうか。