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“好き”をとことん どの子も特別扱い フリースクールの日常(中)

2023年5月2日 17:16
“好き”をとことん どの子も特別扱い フリースクールの日常(中)

東京にあるフリースクール「YES(イエス)インターナショナルスクール東京校」では時間割も必修もなく、それぞれのペースややり方で学びを深める子どもたちがいました。このスクールで育った飯森円舞(いいもり えま)くん、高校2年生。卒業した今もよく遊びに来ます。

■AI時代の教育とは

竹内校長はAI時代の教育を考えています。

竹内校長
「昔は、バランス型で全部できたら潰しがきくという時代だったと思いますが、今はいろいろなことをAIがやってくれる。コンピューターもちょこっとやって、国語もちょこっと、いろいろなものをちょこっとやって、という人が今後、AIが入ってきた社会でどれだけいきいきと生きられるのか。平均的にいろいろできるよりも、何か突出したものを伸ばしてあげた方が仕事にも就きやすいんじゃないか。これからは、暗記のスキルよりもどうやったらいい質問をチャットGPTにすることができるか。AIは心を持っていないので、その心の奥底に何があるのかですよね。ここに来る子の中には、字を書くのが難しい特性のお子さんもいますが、そういうお子さんはタイピングを速くして、変換を速くできるようにして、本をたくさん読んで、漢字の正しい使い方がわかればいい、教育の仕方が変わってきてるんじゃないですかね」

このスクールで育った飯森円舞(いいもり えま)くん、高校2年生。卒業した今もよく遊びに来ます。円舞くんは音楽の才能があり、合成音声=ボーカロイドの楽曲を作り、映像も自ら編集してYouTubeで配信するほか、プロがコンサートで演奏するクラシック音楽の作曲で報酬を得ていて、小説も書いています。小学2年の時と中学1年の終わり頃から卒業まで不登校で、このスクールには小学5年生から通いました。

飯森円舞くん
「このスクールでよかったのは、いろんな価値観があることですね。私は絶対音感があって、みんなそうなのかと思っていたら、そうじゃないとわかって『みんなはできないの?』って言ったら、そういうこと言うのはやめなさいって指摘されて、苦しいなと思っていました。漢字の50問テストの書き順が正しくできるまで帰れませんみたいなのも苦手で、何をもってして“いい子”なのかって全くわからなかった」

「それから、私はかわいいものが好きで、性別なんて何でもいいよと思っていて、でも、小さい頃から『気持ち悪い』と言われてのけ者にされて苦しかった。小説を書いていたり、かっこいい美男美女のイラストを描いていたりしたら、中2病じゃん、気持ち悪い、バーカとか言われて。でも、ここは、そういうことを全般的に尊重、推奨していて、竹内校長は『中2病じゃなかったら、アーティストやクリエーターはできないしね』と言ってくれた。小説を見せたら、先生も生徒もちゃんと読んで評価を伝えてくれる。そこが、本当にここはいいなと思うところですね」

円舞くんは、このスクールの自由な環境の中、ギリシャ神話や落語に熱中し、皆の前で講義をしたり、高度な数学やプログラミングを習得し、最近も後輩たちにボーカロイドの楽曲作りなどを伝授。子どもたちに人気です。

夕方、円舞くんと一緒にいた田森佳秀先生に聞いてみました。

プログラミング担当 田森先生
「求道者のままでいてほしい。自分の中にしか答えがない、一生自分はまだ足りない、まだまだ…と思って日々暮らしていく、そういうのは意外とハッピーだよ。そういうふうに誰でもなれるわけじゃないから、そうなれる人は、無理に万人に受けようとかしなくてもいいんじゃないかな。自分に何の才能もなくなったと思ったら、よく見せようと頑張るのもいいのかもしれないけど。大丈夫ですよ、ここの子たちは大丈夫な子たちばかりなんで、とにかく好きなことに突っ走った方がいいな」

もう一人の卒業生は、4月に中学生になった田島ちひろさん。3月に行われた小中学生によるスタートアップジュニアアワードで、文部科学大臣賞を受賞。プレゼンのテーマは「遠くを夢見るプログラム ~世界は画面の中だけじゃない~」。画面を長時間見た影響で自分が近視になったため、今後、妹まで目が悪くならないように、とツールを開発しました。

パソコンに取りつけて、30センチ以内に近づくとセンサーが反応し音が鳴る「ミエ」と、画面を長時間見続けるのを防ぐ「エル」は、いずれも手縫いで作られ、優しい色合いにこだわったといいます。「エル」は設定した時間が経過すると歌が3分間流れるもので、時間は自分で設定できるのがポイント。音楽が鳴っている3分間はデジタル空間から現実世界に戻り、瞑想したり、外を見たり、壁のシミをみたり、いろいろなことに気付けると説明しました。

そして視力低下を防ぐだけでなく「リアルとデジタルのバランスがとても大切。両方の空間で豊かに暮らしたい。ミエ&エルは、デジタルとリアルの架け橋」と訴え、審査員の尾木直樹さんらから絶賛されました。ちひろさんは普段はとても物静かですが、このプレゼンは堂々たるものでした。

ちひろさんは身近な困りごとを解決できないかと考えるのが大好き。現在はフエルトで作った「妖精」を駒にしたボードゲームを開発中。このゲームは、大きな妖精は小さな妖精を取り込めないが、小さな妖精は大きな妖精をコントロールできるといったユニークなルールだということです。(下に続く)