2022年のお天気ニュースを振り返り 今年も多くの気象災害が発生
2022年も大雨や大雪、猛烈な暑さなど、天気に関係した多くのニュースがありました。印象に残った出来事を振り返ってみましょう。
■「トンガ噴火」日本付近でも潮位上がり津波警報発表も
1月15日の日本時間午後1時ごろ、トンガ諸島のフンガ・トンガ-フンガ・ハアパイ火山で大規模な噴火が発生しました。同日午後2時ごろにはトンガで80センチを超える潮位変動が確認されましたが、日本では、この時点では津波注意報は発表されませんでした。
しかし午後8時ごろ、国内各地で気圧が2hPa程度上昇。その後、太平洋側の各地で潮位変動が確認され、深夜から未明には奄美群島やトカラ列島、岩手県で津波警報が発表されました。
日本各地の沿岸で数十センチから1メートル余りの潮位変動が観測され、多くの漁船や養殖施設などに被害が出ました。
■初の「電力需給ひっ迫警報」発表
3月22日。6日前に発生した宮城・福島の強い地震によって、福島県内の火力発電所が停止し、電気の供給量が減っていることに加え、首都圏では厳しい寒さで雪が降り、暖房需要が高まりました。この影響で、東京電力管内では電力需要が供給力を上回り停電するおそれがあるとして、政府は「電力需給ひっ迫警報」の発表に踏み切りました。また、東北電力管内でも電力需要が供給量にひっ迫しているとして、同じく「電力需給ひっ迫警報」が出されました。
この「電力ひっ迫警報(注意報)」は、電力の需給バランスが乱れると予想される場合に、事前に国民に向けて節電への協力の呼びかけをおこない、ブラックアウトなどの大規模停電を防ぐことを目的とした警報です。東日本大震災後の2012年から運用が開始され、これが全国で初めての発表となりました。
また、6月下旬には猛烈な暑さによって電力需要が増大したことから、「電力需給ひっ迫注意報」が6月26日から30日にかけて連日、発表されました。
■異例の梅雨明け…6月下旬に40℃超の異常な暑さ
太平洋高気圧が強まり、6月下旬には梅雨前線が北日本付近まで北上。東日本から西日本では晴天が続き、各地で気温が上昇しました。
6月27日午前、気象庁は九州南部、東海、関東甲信地方の梅雨明けを発表。いずれの地域も平年と比べ20日前後早い発表となり、異例の梅雨明けとなりました。
また、6月25日には群馬県の伊勢崎で40.2℃と、この夏全国で初の40℃超を記録。これまで6月の最高気温の1位は、2011年に観測された埼玉県熊谷の39.8℃で、6月に40℃以上となったのは観測史上初めてのことでした。
また、この日は東京都心でも35.4℃と、この夏初めての猛暑日を観測。6月に猛暑日となるのは2011年6月29日以来11年ぶりのことでした。
この25日以降、東京都心では9日連続で猛暑日となり、猛暑日連続記録を更新したほか、29日には伊勢崎で再び40.0℃を観測、7月1日には群馬県の桐生、伊勢崎、山梨県の甲州市勝沼、埼玉県の鳩山、熊谷、岐阜県の多治見と、全国の6地点で最高気温が40℃以上となるなど、関東甲信地方を中心に猛烈な暑さが続きました。
ただ、九州から関東甲信地方では、7月中旬を中心に上空の寒気や前線などの影響で曇りや雨の日が多くなったことから、気象庁は9月、梅雨明けの確定値を「7月下旬」と発表し、「過去最も早い梅雨明け」は幻となりました。
■7月は各地で“線状降水帯”発生 初の予測情報も
7月5日、台風4号が九州の西の海上を東進し、午前6時前に長崎県佐世保市付近に上陸。その後、午前9時には温帯低気圧へと変わりました。
この台風に向かって暖かく湿った空気が流れ込み、西日本から東日本の太平洋側を中心に大気の状態が非常に不安定となって、各地で雷を伴った激しい雨や非常に激しい雨が降りました。
特に高知県(西部)では未明、次々と発生する発達した雨雲によって長時間にわたって同じような場所で激しい雨が降る「線状降水帯」が発生。高知県の須崎では午前1時10分までの3時間雨量が208.0ミリ、四万十町窪川では午前8時50分までの24時間雨量が465.0ミリに達するなど、記録的な大雨となりました。
その後も、7月18日には長崎県の壱岐・対馬や山口県で、翌19日には福岡県(福岡地方、筑豊地方、筑後地方)、佐賀県(南部)、大分県(北部、西部)で線状降水帯が発生し、各地で大雨が続きました。
また、7月15日から16日にかけては、九州南部と北部を対象に、気象庁が2022年から新たに始めた「線状降水帯予測情報」が出されました。
■442年ぶりの天体ショー 皆既月食と惑星食が同時に
11月8日には全国で皆既月食が観察できました。北海道から東北の日本海側や沖縄では雲が広がりましたが、その他の地域では広く晴れて、今回は月食の最中に月が天王星を隠す「天王星食」も観察することができたため各地で盛り上がりをみせました。
「皆既月食」と「惑星食」が日本で同時に観察することができるのは非常に珍しく、前回起こったのは442年前の安土桃山時代まで遡るといいます。日本で次回皆既月食中に惑星食が起こるのは、300年以上先の2344年だということです。
ここに挙げたのは2022年に起こった天気に関係するニュースの一部ですが、これらのほかにも多くの災害や出来事がテレビで報じられました。
気象災害は毎年のように発生しており、また、いつ発生してもおかしくないものです。どのように備え、どのように避難するのか、いま一度、家族で話し合っておくといいでしょう。