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“都民割”再開も「ほとんど売り切れ」 宿泊施設も「利用にハードルが…」

2022年6月14日 19:35
“都民割”再開も「ほとんど売り切れ」 宿泊施設も「利用にハードルが…」

「都民割」が10日から再開しましたが、既に予約が一杯で、利用できないケースも出てきています。一方、宿泊施設側からは、「都民割を適用するには、ハードルがある」という声もあがっています。

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「都民割」について、街で話を聞きました。

都民
「仕事の休みが不定期なので、友達と予定も立てづらくて」

都民
「(情報を)知る機会があまりなかったので、もうちょっと広めてくれたらなとは思いました」

既に予約がいっぱいで取れなかったという人や、期間中に予定が合わないなど、「都民割」の利用が難しいという声が上がっています。

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宿泊施設からも「予約数が足りない」という声が上がっています。

原宿にある民泊「MOSHI MOSHI ROOMS」では、桜の花をかたどった照明に「桜」と書かれたネオンなどで、全体で日本の春を表現した部屋や、相撲や銭湯をモチーフにした部屋など、4部屋の予約に「都民割」を希望していました。

しかし、実際に適用されたのは2部屋のみでした。また、運営会社によると、旅行サイトとの手続きの中で予約情報の掲載が遅れたりしたといいます。

こうした中、民泊での「都民割」の利用について、ある指摘が出ています。

日本民泊協会 代表理事 大植敏生さん
「募集要項では参画OKだけど、国内の予約サイト経由でないと(“都民割”プランの)販売はだめだということで、実質、参画はできないという方がほとんど」

今回の「都民割」について、東京都は民泊での利用も可能にしていますが、利用するためには国内の旅行サイトに登録する必要があります。しかし、民泊では登録自体ができない旅行サイトもあるため、約7割が都民割を利用できないといいます。

コロナ禍で客の中心だった外国人観光客が来日できず、廃業が相次いでいるという民泊。日本民泊協会は、すべての民泊が割り引きの対象になるよう国や自治体に要望して行くということです。

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「都民割」が利用できない施設もある一方で、あえて“使わない”判断した旅館もあります。

川田旅館 楠瀬大一郎代表
「こちらがオーシャンビューじゃなくて、リバービューのお部屋です」

ベランダから多摩川を眺められる、約70年前から続く、東京都狛江市で唯一の旅館です。

川田旅館 楠瀬大一郎代表
「いまの段階では(都民割の)登録をしてもなかなかキャパがないっていうことが、逆にそういうデメリットが生じるのではないかと」

川田旅館の客室は6部屋で、工事業者などいわゆるお得意さんが定期的に利用するため、観光客を呼び込むことでお得意さんが泊まれなくなる可能性があり、「都民割」を利用しなかったといいます。その上で今後、観光客の受け入れが必要になってくるということです。

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コロナ禍の影響が長引く旅行業界。幅広い支援策が求められます。