理由なく暴力を振るわれるケースも… 鉄道係員に対する暴力行為 2023年度は144件発生
全国の私鉄各社が加盟している日本民営鉄道協会が、大手私鉄16社で発生した暴力行為の件数を集計したところ、2023年は前年より6件増の144件だったことがわかりました。
被害にあった時の状況は、「理由なく突然に」が34件、「酩酊者に近づいて」が31件、「迷惑行為を注意して」が28件、「けんかの仲裁」が18件となっています。
暴力行為が発生した時間帯は、「深夜(22時~終電)」が54件、「夜(17時~22時)」が35件、「日中(9時~17時)」が34件、「朝(始発~9時)」21件と、深夜帯に集中。
加害者の年齢は幅広く分布していますが、約6割が飲酒していたということです。
2020年度はコロナ禍により鉄道利用客が減少したことで、暴力行為の発生件数も例年の半数程度まで減少しましたが、翌年から増加に転じ、今回で3年連続の増加となりました。同協会の担当者は、利用客数の回復に相対して、暴力行為の発生件数も増えているのではないかとの見解を示しています。
同協会は2023年にカスタマーハラスメントに対する基本方針を作成しており、私鉄各社はこれを基に、暴力を受けた時の対応や、鉄道係員を暴力行為から守るための対策を進めているということです。
<暴力行為の具体的事例>
【事例1】
・加害者年齢:20代
・時間帯:深夜(22時~終電)
酩酊した男性旅客が、営業が終了しているホームに向かったため、複数の駅係員で対応し、営業が終了している旨伝えたが聞く耳を持たず、ホーム上で再度終了した旨の案内をすると突然暴れだし、2名の駅係員が蹴られ受傷した。
【事例2】
・加害者年齢:40代
・時間帯:日中(9時~17時)
ホームで執務中、車内整理で一旦閉扉する列車に加害者が駆け込んできたため、扉に挟まれると思い制止したところ、いきなり右後頭部と顔面を数回殴打され、車両に後頭部と腰を強打し負傷した。
【事例3】
・加害者年齢:50代
・時間帯:夜(17時~22時)
ホームベンチにて着座していた加害者男性は、携帯電話で通話中の別の男性旅客に対して立腹し口論となった。ホーム係員が仲裁に入るも加害者男性の興奮は収まらず、ホーム係員と改札窓口係員の2名で対応を行った。2人を別々に誘導し、話を聞いていたところ、突然係員が、加害者男性から左肩上腕部付近に頭突きをされ受傷した。
【事例4】
・加害者年齢:70代
・時間帯:夜(17時~22時)
加害者は「券売機でお金を入れたのに切符が出てこない。説明しろ」と、ご案内カウンターに何度もぶつかってきた。お詫びするとともに説明したが納得せず、激昂して被災者の右胸を左手の拳で1回殴打した。やめるように伝えたが、被災者は再度右胸を左手の拳で殴打され受傷した。