【岐阜県知事選】リニア工事で主張が対立 “沈んだ家”に住民の不安募るも… 1月26日投開票
大内延男さん(84):
「みんなビシビシ割れてきている。ここは大きく割れたけど、このひびはみんな新しいやつ」
自宅の異変を話すのは、大内延男さん。ここ瑞浪市大湫町に約45年前に家を建て生活しています。
大湫町では、リニア中央新幹線の工事現場で、去年2月にトンネル内から水が湧き出ているのが発覚。工事現場付近の井戸やため池で水位の低下が発生し、一部は枯れてしまいました。
問題はそれだけにとどまらず、去年8月には付近で地盤沈下が起こっていることも明らかになったのです。JR東海によると、月に1センチほどのペースで進み、最大7.7センチ下がっている地点も。
大内延男さん(84):
「ここ新しく(ひびが)入ったね。11月の終わりごろから、ずーっと順番にひびが。今度はドアが閉まらないようになった。こんなふうだもん」
発覚から約5か月。自宅周りのコンクリートのひびが増え、扉も閉まりにくくなったと訴えます。異変はそれだけでなく…。
大内延男さん(84):
「むこうに行くにしたがって回りが速いでしょ」
地盤沈下の大きい方向に床が傾いているというのです。
大内延男さん(84):
「どれくらいこうなってる(傾いている)か目に見えない。それが一番困っている」
JR東海は先週、『工事による水位低下が地盤沈下の原因である可能性が高い』と明らかに。これまでの調査では、大内さんの自宅周辺で沈下傾向は確認されていませんが、今後も調査を続ける方針です。
大内さんにとって今回の知事選は、リニアが大きな注目点。
大内延男さん(84):
「知事自体が地元の住民になったつもりで、問題をどう解決してくれるかが問題。住民の身になって考えてくれるのかくれないのか」
ほかの大湫町の住民も工事の行く末を案じます。
大湫町の住民:
「この期に及んで反対といえども全国的に始まっているんで、(リニアは)通るだろうと思いますけど、環境破壊が最小限に少なくできるように、知事さんにも頑張ってもらわないと」
大湫町の住民:
「リニア開通ありきでことが進んでるって、そういった考え方をするのは避けていただきたいです。大湫町の人が安心して住んで暮らしていけるような環境を大前提として、進めていただきたいです」
そんな中、JR東海は1月22日、中津川市のトンネル工事現場付近の市道で3センチを越える地盤沈下が確認されたと明らかにしました。
日本の大都市圏を結ぶ一大プロジェクトの裏で、岐阜の小さな町に広がる不安。知事選に立候補している2人はどう考えるのでしょうか。
元内閣府大臣官房審議官 江崎禎英さん(60):
「大湫のみなさま、江崎禎英でございます」
1月13日(月)、大湫町に現れたのは元内閣府大臣官房審議官の江崎禎英さん(60)。大湫町で支持を訴えた後は瑞浪市内で演説会を開き、スライドを使って政策を説明していました。
元内閣府大臣官房審議官 江崎禎英さん(60):
「(リニアは)日本の人流とか物流とか大きく変える、そんな可能性のあるものだと思っています。地元の方が困っている状態をちゃんと解消できるかどうか、まず徹底的に議論していくと。それが重要だと思っています」
一方、瑞浪市内のスーパーの前で買い物客に支持を訴えていたのは、産業カウンセラーの和田玲子さん(64)。
産業カウンセラー 和田玲子さん(64):
「一緒に岐阜県の政治を変えていきましょう!」
江崎さんとは対照的に、工事については全面中止を掲げます。
産業カウンセラー 和田玲子さん(64):
「リニア工事が進むたびに環境問題が必ずどこでも起こってくると思う。早めに(工事を)止めて環境破壊も食い止める。こういう場所(大湫町)はもう増やしてはいけない。ここは(工事を)止めていくべきだと思っています」
リニアを巡っては意見が割れる2人。20年ぶりの新人対決は1月26日に決します。