海外デザイナーを魅了 歴史と伝統が織り込まれた“塩沢の織物”を世界へ 広がる可能性《新潟》
去年、アメリカのニューヨークで南魚沼市塩沢地区の絹織物を使ったファッションショーが開かれました。そのショーでグランプリを獲得したデザイナーが来日し、伝統的な織物の魅力に触れました。
南魚沼市塩沢地区にある織物会社「やまだ織」。
〈やまだ織 保坂勉社長〉
「一番最初の工程で糸繰という工程になります」
織物の工程を熱心に見学する男性がいました。マレーシア出身のファッションデザイナー、ラッセルさんです。
去年1月、ニューヨークで開催されたファッションショー。テーマは「夏塩沢」とデニムの組み合わせで、200点の応募のなかから10人のデザイナーがファイナルに進みました。主催したのは日本の伝統文化を世界に広めるプロジェクト、「サクラコレクション」です。
〈SAKURA COLLECTION 田畑則子 代表理事〉
「伝統工芸品ってすごく環境とリンクしている。雪国で作られていることや背景も含めて知っていただけたらなと思って素材として選びました」
ラッセルさんはこのショーで見事、グランプリを獲得。こちらがその作品です。
〈マレーシア出身・デザイナー ラッセルさん〉
「コンセプトは夏塩沢の生地そのものの魅力、美しさを際立たせたいので縦じまであるとかパターンをきれいに映し出すようにストライプを利用しました」
ユネスコの無形文化遺産にも登録されている塩沢の麻織物「越後上布」。さらに、その技術を絹織物に取り入れた「塩沢紬」「夏塩沢」などがあり、塩沢は織物の産地として発展してきました。しかし、国内での需要は年々減少。そこで「やまだ織」の社長・保坂勉さんが挑戦したのが海外への売り込みです。流行の発信地、アメリカ・ニューヨーク。去年、保坂さんは商談会に参加しました。
〈やまだ織 保坂勉社長〉
「ニューヨークというのはファッションの街で世界的に有名ですのでそこでどれだけ私たちの商品が通用するのかというのを現地で確かめるためにニューヨークを選びました」
海外でも人気が高まっている日本の着物。その中でも高品質な塩沢の織物は多くのデザイナーやバイヤーの興味をひきました。デザイナーのラッセルさんも魅了された1人です。この日は生地に柄を染める工程を体験し伝統工芸の奥深さにふれました。
〈ラッセルさん〉
「額に入れて家に飾りたいです」
〈やまだ織 保坂勉社長〉
「この豪雪地帯から世界に向けた商品が作られる。そして世界の人に喜んでいただけるのは非常に意味のあることだと思います」
歴史と伝統が織り込まれている塩沢の織物。海外へ目を向けることでその可能性が広がっていきます。