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「まさかこの地区が…」“液状化”で傾いた自宅に呆然 震源から100キロの住宅街でも被害 どうすれば…液状化対策

2024年1月30日 16:59
「まさかこの地区が…」“液状化”で傾いた自宅に呆然 震源から100キロの住宅街でも被害 どうすれば…液状化対策
液状化で傾いた家や道路

元日に大きな地震に襲われた能登半島。私たちの身にも起きうる事態が数多く発生していました。震源から遠く離れた都市部に近い閑静なベッドタウンでも、目を疑うような深刻な被害が「我が家」に起きていました。

最大震度5弱の地域でも発生 液状化で傾いた自宅「まだローンが…」

金沢市内から車で約30分ほどの内灘町(うちなだまち)。震源からは100キロ以上離れ、最大震度は5弱。津波や火事による被害はなかったものの、電柱は傾き、車が斜めになった状態で走るほど道路は湾曲していました。隆起した地面が車を持ち上げ、出せなくなってしまう家も。一体、何が起きたのでしょうか…。

地震発生時をとらえた防犯カメラの映像を確認したところ、強い揺れが襲うと道路が波打ち、地面に大きな亀裂が走ります。アスファルトも次々とめくれ上がいくのがわかります。しばらくすると道路の隙間から茶色く濁った泥水が湧き出し、わずか数分で、みるみるうちに道路を覆いつくしてしまいました。

地震の強い揺れにより、地下水や砂が噴出し地盤が液体状になる、「液状化」が起きたのです。最大震度が5弱だった内灘町で1300軒以上の住宅が被害を受けました。

この地域に住む川辺英春さんの自宅も、液状化で傾いてしまったといいます。町が事前に作成していた液状化の危険性を示した「ハザードマップ」では、海に近い場所や、干潟を埋め立てた地域は、危険度の高い赤色となっています。川辺さんの家は、被害が小さいとされる箇所との境目にありましたが、地盤がずれ、家の基礎から傾いてしまうなど大きな被害がでました。

20年ほど前に家族が持っていた土地に建てたというマイホーム。ローンもまだ残っているといいます。幸い家の形は保った状態ですが、地震保険には加入しておらず、国からの補助金が受けとれるのか、修復は可能なのかなど、先の不安は拭えません。

川辺英春さん:
「内灘町の干潟寄りの部分が危険度マップでは真っ赤っか。ただ、液状化でこうなるっていうのは、あんまり想定してなかった。まさかこの地区が…。できればこっちでこのまま居たいという思いもあるけど、(今後)もし地震が起きたら、その時も液状化が起きるかもしれない」

水道管なども破損し、上下水が止まったままなど、町のいたるところで今もなお続く液状化の被害。

もともと内灘町は砂丘が近くにあり、液状化の起きやすい地域。地震の揺れにより地盤が液状化し、さらに「側方流動」という土地の傾きに沿って地盤が流れる現象が発生。砂丘の際から地盤が流れてしまい、家や電柱などが道路側に押し寄せる形となり、止まったとみられています。横方向に約3メートルもずれ動いたと推定しました。

内灘町の現地調査を行った専門家は、今回の被害の特徴について、こう指摘します。

東京電機大学 安田進名誉教授:
「地盤が全体に流れ出してきましたので、家だとかライフライン、道路、これが単に水平の地盤で液状化するよりよっぽどダメージ受けてる。そういう意味で内灘町の今回の被害っていうのは深刻さがある」

”側方流動”によって被害がより甚大になってしまった内灘町。川辺さんは町内のアパートに引っ越し新しい生活を始めていますが、家に戻れる見通しはまだ立っていません。

どうすれば…液状化対策 危険度マップで自宅の地盤を確認

震源から100キロ以上離れた内灘町で発生した”液状化”。東海地方でも地震が起きた際に液状化する可能性が高いとされるエリアのマップが公表されています。愛知県では名古屋市など尾張西部や西三河の南部など、地下水が浅いところのほか、海に面した所や川沿いが液状化の可能性が高いとされています。

液状化の対策としては、家の地盤を強固にしておくことが大事。愛知建築士会によりますと、新築するときに基礎の土にセメントを混ぜて地盤を改良する方法や、鉄製の杭を打って補強する方法などがあります。既に建っている家にも対策が可能で、今ある基礎の下に土を固める薬品を注入して、地盤を強くする方法などがあるそうです。

一方で、国土交通省の担当者からは“大規模な対策”も必要との声が聞かれました。自分の家を対策しても、周辺の道路や近隣の建物が液状化したら、結局孤立してしまうかもしれないため、“街全体の対策として道路などを含めて液状化させない「宅地液状化防止事業」を進めているということです。熊本地震の被災地などで既に行われているそうです。

一生住むと決めた家が突如傾いて住めなくなったら…とても他人事とは思えません。液状化対策のためにも、自分が住んでいるところがどういうエリアなのか、まずは液状化の危険度マップで確認することから始めましょう。

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