【震災から1か月】ネコを探し続ける夫婦 「安否がわかるまで心はずっと休まらない…」
震災で一変した日常を取り戻そうと、少しずつですが、前に歩み出そうとしている被災地。その一方で、今も多くの人たちが離ればなれになった“家族”を探しています。
20匹以上の猫を飼い主のもとへ 被災地での保護猫活動の一方…差し迫る生活の再建
輪島の観光名所“朝市通り”。ここに軒を連ねた店舗や住宅、約200棟が地震による火災で焼け落ちました。あれから1か月。ある夫婦が、跡形もなくなった“我が家”で探していたのは…。
桐本滉平さん:
「ここで骨が見つかっているので、おそらく3匹が一緒に一酸化炭素中毒で気を失って、亡くなっている思う。もう1匹分の骨をなんとか見つければ、僕らもちゃんと手を合わせられる。人も動物も同じ命なので。安否がわかりきるまで、心はずっと休まらないです」
夫婦が一緒に暮らしていた3匹の猫は、地震の後、行方が分からなくなりました。その後、2匹は亡骸で見つかり、残る1匹を探していたのです。
地震から10日が過ぎた頃、おなかを空かせた猫が匂いにつられて帰ってくるようにと、桐本さんがエサを置いたケージを通り道に仕掛けると、見知らぬ猫がやってくることも。そこで桐本さんは、自分の飼い猫を探すだけでなく、迷子になった猫を、飼い主のもとへ届ける活動を始めました。その取り組みを知り、地震で猫とはぐれてしまった多くの飼い主が、桐本さんのもとに集まってきます。
保護された猫に心当たりがあると、桐本さんを訪ねてきた女性。7年前から一緒に暮らしていた飼い猫は、大きな揺れで家から逃げ出し、行方が分からなくなっていました。顔や身体の特徴を確かめますが、願っていた再会とはなりませんでした。
飼い猫を探す女性:
「今は避難所生活で紛れているが、自宅に戻ると、クロさんがいないと…。かなり寂しい感じがするだろうな」
地震から、まもなく1か月。桐本さんは今も迷子の猫を探していました。輪島市は、より安全な場所への二次避難を呼びかけていますが、ペットの無事が確認出来るまで、家を離れられないという被災者も少なくありません。
桐本滉平さん:
「早く仕事復帰しないと、動物どころじゃなくて自分たちが生活するお金。いろいろな生活用品も燃えているので。僕らの貯金も、もう底をつく」
家も仕事も失い、差し迫っている生活の再建。残る1匹の飼い猫が見つかった時、桐本さんは、この活動にひとつの“区切り”をつけようと考えているそうです。
ペットとはぐれないために出来ること マイクロチップや「きずなカード」でいざというときに備えよう
2022年6月から装着が義務化されたペットを識別するためのマイクロチップ。1センチほどのサイズで肩の辺りに埋め込み装着します。チップの中に飼い主の情報が入っているので、どこかで保護されたときにすぐに飼い主が分かるようになっています。
現在、ペットショップの動物たちにはついていますが、それ以前から飼っている人は、装着していないかもしれません。名古屋市では、事前に申請して指定の動物病院で装着することで、約数千円の費用に対し補助1000円が受けられます。
さらに、 名古屋市が各区の保健センターや市役所で用意している「きずなカード」は、名前や特徴のほか、家族で撮った写真などが貼れたり、マイクロチップの番号や飼い犬登録をしたときの識別番号も書くことができ、離ればなれになったときに、飼い主はこれを頼りにペットを探せます。
“いざというとき”は、ある日突然訪れます。大切なペットと離れ離れにならないためにも、いまのうちに備えておきましょう。