秋の味覚“産地に異変” 温暖化で…サツマイモが北海道の新たな名産に? 伊勢えびも各地でブランド化
旬を迎えている秋の味覚。実はその“産地”にいま、異変が起きています。
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現在、横浜高島屋で開催中の「秋の大北海道展」。
「北海道展」だけにウニやイクラ、カニなど海の幸がビッシリと敷き詰められた海鮮丼に、お客さんの目の前で豪快に焼き上げられる帯広名物の豚丼など、北海道が誇るグルメが勢ぞろいしています。
北海道といえばジャガイモも名産ですが、今回それに対抗するのが、秋の味覚、サツマイモです。
お客さん
「(北海道で)ジャガイモは聞いたことあるけど、サツマイモというのは初めてで、楽しみにしています」
お客さん
「サツマイモなら何でも食べます」
北海道産のサツマイモを使ったマフィンや、北海道産の「紅あずま」を使ったサツマイモのパフェなどサツマイモグルメが初登場。とはいえ…
──サツマイモといえばどこ?
お客さん
「鹿児島でしょ、サツマだもん」
サツマ(薩摩=鹿児島)にイモと書いてサツマイモ。鹿児島県など比較的温暖な地域で栽培されてきたサツマイモが、なぜ、北海道展に…?
高島屋バイヤー 山本浩さん
「“温暖化”で、北海道でもおいしいサツマイモが作られるようになった」
これまでは福島あたりが栽培の“北限”とされてきたサツマイモ。それが温暖化などで北海道にまで“北上”したというのです。
農協によると、温暖化の影響で北海道もサツマイモの栽培に適した気候となり、作付面積は年々増加傾向。20年近く、北海道の野菜を販売してきたという人は…
大北海道展に出店 野菜販売店・店主
「ジャガイモしか売ったことなかったので、今回、自分としては、戸惑いながらサツマイモを売らせていただいております」
新たな北海道の名産として、ブランド化が進んでいます。
“産地の北上”は海の中でも。千葉県が誇る名産といえば…
「イキがいい!」
「めちゃめちゃイキがいいですね」
高級食材の「伊勢えび」です。「伊勢えび」を使った料理を食べた人は…
栃木から来た観光客
「きれいにいただきました」
──こっちも中身ない?
栃木から来た観光客
「ないです、ありません。きれいにいただきました。残っていないです、ワサビぐらいしか」
──ワサビしか残っていない
栃木から来た観光客
「おいしかったです」
青森から来た観光客
「(伊勢えびの刺し身)初めてね、おいしいです」
現在、千葉県御宿町では地元でとれた新鮮な伊勢えびがお得に味わえる「伊勢えび祭り」を開催。旬まっただ中の味を求めて、遠方からも大勢の人が訪れます。しかし…
御宿町観光協会 吉清文夫代表理事
「外房あたりが多分、伊勢えびの生息域の北限であろうということだったが、福島あたりまで北限が上がっていっています」
あたたかい水温を好む伊勢えび。専門家によると、生息地の“北限”は千葉県あたりだったといいますが、温暖化などの影響で海水温が上昇したため、茨城県やさらに北の福島県あたりまで北上。茨城県と福島県ともに伊勢エビの水揚げが増えているというのです。
その“伊勢えび”を茨城県は去年、「常陸乃国いせ海老」としてブランド化。この数年、水揚げ量が右肩上がりだという福島県でも…
福島の水産加工会社・上野台豊商店 上野臺代表
「『磐城イセエビ』とネーミングをつけて、ピザを作ってみたり、東北の伊勢えび、北限のおいしい伊勢えびを楽しんでもらえたら」
この伊勢えびの北上に焦りを感じているのが千葉の御宿町です。
御宿町観光協会 吉清文夫代表理事
「(伊勢えびが)ちょっと上がっていくと、御宿といえば…というところが、いやいやそうじゃないよみたいな。不安ですけどね、本当に」
──伊勢えびに言いたいことは
吉清文夫代表理事
「北へ行かないで」
伊勢えびがウリの飲食店も…
白鳥丸 佐野竹成さん
「あんまり移動してほしくないですけどね。適度なところで、とどまってくれればと。あんまりいろんなところでブランドができてしまうと困るかな」
ちなみにその千葉にも、これまで見たことがないという“南方の魚”が北上。温暖化の影響を懸念しています。