【解説】雷雨や突風…天気急変の前兆・「竜巻の卵」危険な雲とは 土石流前に“焦げくさいにおい”?
夏のこの時期、思わぬ雷雨に遭遇することがあります。身の危険につながるものもあり、注意が必要です。
●この雲見たらすぐ逃げて
●どこなら安全?
以上のポイントを中心に、天気が急変しやすい夏、どのように身を守るのかを詳しく解説します。
13日朝、鳥取県に「記録的短時間大雨情報」が発表されました。鳥取市内では、1時間に約90ミリと災害が起きるほどの猛烈な雨が観測されています。
富山県でも出されましたが、「記録的短時間大雨情報」は大雨が降るという「予想」ではなく「観測した」という情報です。「ああ、もう既に降ったのか」と思うのではなくて、降ったからこそ安心できないのです。
観測した雨の量が土砂災害や浸水、河川の氾濫など災害につながるレベルだという情報です。
だからこそ、この情報が発表された場合には、自治体からの避難情報を確認しましょう。避難の呼びかけがなくても、少しでも危険を感じたら命を守る行動をとってほしいです。
天気の急変にはなるべく心構えをしておきたいです。去年の7月から9月にゲリラ雷雨がどのくらい発生したのか、ウェザーニュースがまとめたデータがあります。
20道県で発生回数が最も多い1501回以上、14都府県で1001~1500回となっています。東京都では1027回発生しました。
局所的なものを集計しているので、回数で見ると実感と異なるところもあるかもしれません。ただ、誰しも遭遇する可能性があるということを示しています。
天気が急変する時にはいくつかの前兆があり、それを見逃さないことが重要です。
●真っ黒い雲が近づく
●雷の音が聞こえる
●急に冷たい風が吹く
このような変化を感じた時は、すぐ近くに発達した積乱雲がある可能性があります。積乱雲は雨や落雷、竜巻などの非常に激しい突風をもたらすおそれがある雲です。
実際、11日、12日と関東で突風の被害が相次いでいます。10日、徳島県を走行中の車のカメラが、木々を揺らすほど強い風が吹いていたその時、道路脇の木が突風の影響で突然倒れ、車に衝突する瞬間を捉えていました。車に乗っていた人にけがはなかったそうです。
この積乱雲の中でも、特に危険な雲があります。
●アーチ雲
弓を寝かせたようなかたちをしているため、このように呼ばれています。激しい雨や落雷、竜巻のほかひょうが降ってくるおそれがある雲です。
不気味な見た目どおり、非常に危険な雲で積乱雲が極めて発達している状態です。
●ろうと雲
発達した積乱雲の底から渦巻き状の雲が垂れ下がる現象で、これが地面や海面まで達すると竜巻になります。そのため「竜巻の卵」とも呼ばれています。
最後は雲の中に吸収されるように消えていくという特徴があります。ろうと雲は太いほど積乱雲にパワーがあるということで、大変危険です。
見かけたら「珍しいな」と眺めたり、スマートフォンで撮影したりするのではなく、突風や雷雨に備えてください。
大雨にともなって土砂災害にも注意が必要です。土砂災害が発生する時にも、前兆があります。
「山の斜面に亀裂が入る」「小石がぱらぱら落ちてくる」という時は、がけ崩れが起きる可能性があります。
また、「山あいの渓流の水が濁る」という場合は、水が土を含んでいるということですから、土石流が発生する前兆です。石がぶつかるなどして、「焦げくさいにおい」もするということです。
●竜巻
外にいる場合は、とにかく頑丈な建物の中に避難しましょう。避難できない場合には、物陰やくぼみに身をふせましょう。体をとにかく低くすることが重要です。
屋内にいる場合は、安全な家の中心部に近い、窓のない部屋に行くことが大切です。窓は割れる場合があります。窓もカーテンも閉めてください。
●大雨
当たり前ですが、水辺を見に行くなどせず、離れることが大切です。
上流に降った雨で急に増水することもあります。水かさが増え、枝が流れてきている場合は危険です。枝が流れてきたということは、既に上流で木が倒れるほどの状況だということを示しています。直ちに離れてください。
浸水した場所も注意が必要です。道路に排水溝がある場所は、ふたがはずれ、深みにはまる場合もあるので近づかないでください。
●土砂災害
警戒区域の中から外に避難します。自宅の外に避難できない場合は、山の斜面と反対側のできるだけ高層階の部屋に避難をするということが重要です。
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普段と少しでも違う様子の時には、それに気付いて、ためらわずに命を守る行動をとりましょう。
(2023年7月13日午後4時半ごろ放送 news every. 「知りたいッ!」より)